30 Jul 2020
G’s MUSIC REVIEW スペインでもっとも成功したロックバンド、ハインズの3作目『The Prettiest Curse』 etc.

『The Prettiest Curse』
HINDS
スペインでもっとも成功したロックバンドの称号を得たハインズの3作目は『最高にかわいい呪縛』と名付けた反逆の一手。女性ロックバンドに向けられる性差別的な発言や、「ロックに魂を捧げる」という定型にコントロールされないために、この呪いをかわいいものと捉えて進む決意をポップに歌うのが彼女たちらしくてニヤける。陽性のガレージ・ロック・サウンドにメランコリックな要素も加わり、バンドとしても飛躍。奔放さは時に誰かの心を楽にする。
(Sony Music Entertainment)
『ピック・ミー・アップ・オフ・ザ・フロア』
ノラ・ジョーンズ
デビュー作がグラミー賞で8部門を受賞、映画出演など多彩な活動でも知られるようになったノラ・ジョーンズ。アルバム制作からしばらく遠ざかるつもりが、子どもたちに絵本を読み聞かせ愛犬の散歩をするうち新しいインスピレーション源を見つけ、自身も今までで一番クリエイティブと語る本作が完成。ぬくもりあるサウンド、声の包容力が心の穴を埋め、火を灯してくれる。作家の川上未映子による歌詞対訳も一緒に味わってほしい。
(ユニバーサル・ミュージック合同会社)
『TO LOVE IS TO LIVE』
Jehnny Beth
ロンドンのポストパンク・バンド、サヴェージズが歩みを止めてから3年。ヴォーカリストのジェニー・ベスがついにソロ本格始動。デヴィッド・ボウイの遺作に影響を受けた本作には、俳優のキリアン・マーフィーがリーディングで参加。またThe XXのロミーがコラボするなど彼女の美学にシンパシーを抱くアーティストも多いが、抑えきれないフラストレーションをアートとして爆発させる姿は相変わらず気高くタフで美しく、目も耳も奪われる。
(Caroline International Japan)
Recommender: 奥浜レイラ
音楽と映画のMC。三者三様のクールな女性たちにすっかり感化され、風を切ってスーパーへ行きました。
GINZA2020年7月号掲載