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“胸キュン”の恋愛モノはどこまでいくのか? 日本ドラマの気になるTOPICS研究 vol.3

“胸キュン”の恋愛モノはどこまでいくのか? 日本ドラマの気になるTOPICS研究 vol.3

年末に動画配信サービスを視聴する人も多いのでは?2020年話題になった日本のドラマを、ミクロにマクロにじっくり分析。全7回の連載でお届けします。新しい動きにも注目して。#日本ドラマの気になるTOPICS研究


 

みんなやっぱりキュンキュンを求めてる!
恋愛モノはどこまでいくのか

『逃げ恥』のヒットにより、恋愛ドラマがもたらす切なさやときめきのニーズが上昇。そんな中、18年に『大恋愛』、19年に『凪のお暇』が放送され、その視線がますます熱くなった。
「『大恋愛』は直球勝負の作品でしたが、戸田恵梨香とムロツヨシというまさかの組み合わせが、美男美女でなくても恋愛ストーリーは成立し、かつヒットすることを見事に証明しました」
そして今年、『恋はつづくよどこまでも』がスタート。『天皇の料理番』(15)などで評価の高い佐藤健の演技が話題だ。
「不意打ちのキスなど、畳みかける“ときめきシーン”で全女子を圧倒。このヒットで恋愛ドラマにはまだまだ需要があることが明らかに。しかしここまで人気が出たのは、“キュンキュンさせること”に特化した思い切りの良い脚本があり、さらに日常の中の繊細な演技が得意な佐藤健と、親しみやすくかわいらしい上白石萌音が演じる不器用なヒロインという奇跡のタッグが実現したからこそ。似た作品を作っても、ここまで視聴者を夢中にさせられる役者がいるか。今まで以上に企画力とキャスティングが重要になりますね」(岡室美奈子さん)

『逃げるは恥だが役に立つ』(16)

『逃げるは恥だが役に立つ』

自称小賢しい性格のみくり(新垣結衣)は、“プロの独身”の平匡(星野源)と、社員と雇用主という形での契約結婚をするが、いつの間にか恋愛感情が生まれ…。年上の百合と風見の年齢差のある恋にも注目が。Paraviなどで配信中。

 

『大恋愛〜僕を忘れる君と』(18)

『大恋愛〜僕を忘れる君と』(18)若年性アルツハイマー病に侵された産婦人科医・尚(戸田恵梨香)と、彼女が愛読していた物語を書いた、元小説家の真司(ムロツヨシ)。愛する人を忘れる運命を背負った彼女と、彼女を10年にわたり支え続けた男性との切ないストーリー。Paraviなどで配信中。

 

文筆家・清田隆之さんが考える 『恋つづ』
世の女性たちをTVの前に戻した佐藤健とは何なのか

恋バナ収集ユニット・桃山商事として多くの恋愛話を聞いていますが、今の30歳前後の女性たちの恋愛は、本当にシビア。妊活や婚活などの“年齢のリミット”に急き立てられながら、仕事と恋や結婚の両立を考えなければならない。決して高望みはしておらず、“普通に話が通じ、フェアなパートナーシップが作れる男性”を求めているだけなんですが、そういう“普通の男性”が本当にいないと、みんな口をそろえて言っている。そんな荒んだ現代に登場したのが、『恋はつづくよどこまでも』でした。
天堂浬役の佐藤健が、バックハグをしたり、突然キスをしたり、ドSのクセにデレたり…など、“女性の恋愛妄想ベスト10”的場面が、これでもかと詰め込まれたドラマ。辛い現実を生きる彼女たちにとって、ストーリーをじっくり読み解く楽しさより、ぱっと観てすぐに興奮が得られる即効性の方が刺さるのではないか。本作の佐藤健は、数分に1回確実に快楽を与えてくれる禁断の薬であり、あらためて考えると、これはもはやドラマではなく、“胸キュン動画の詰め合わせ”なのでは…と感じました。ストーリーやキャラを理解していない人でも確実に気持ちよくなれる構造は、確かに画期的。ただこの手法はドラマとしては刹那的であり、同時に役者に依るところがとても大きい。そう考えると諸刃の剣かも。恋愛ドラマが復権、なんて声も聞こえてはきますが、この先、これ以上の刺激がある作品を作れるのか…。このドラマが通り過ぎた恋愛ドラマの畑には、ペンペン草すら生えないのでは…と、正直心配な気持ちです。(清田隆之さん)

『恋はつづくよどこまでも』(20)

『恋はつづくよどこまでも』(20) 佐藤健 上白石萌音原作は円城寺マキによる同名マンガ。看護師の佐倉七瀬(上白石萌音)は、偶然の出来事で運命の男性となった医師・天堂浬(佐藤健)と5年ぶりに再会。超ドSな天堂に、片想いの七瀬がまっすぐに食らいつく!Paraviにて配信中。

岡室美奈子 おかむろ・みなこ

早稲田大学演劇博物館館長、早稲田大学文化構想学部「表象・メディア論系」教授。専門はテレビドラマ論や、現代演劇論、サミュエル・ベケット論など。

清田隆之 きよた・たかゆき

1980年、東京都生まれ。恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表。“恋愛とジェンダー”をテーマに、コラムの執筆やラジオなどの出演も。7月に初のエッセイ集『さよなら、俺たち』(スタンド・ブックス)が発売。

Illustration: Hitoshi Kuroki Text&Edit: Yuki Kono

GINZA2020年8月号掲載

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