人間味ある創作で人々を惹きつけるクリエイター、マイク・ミルズ。新作映画『20センチュリー・ウーマン』では、力強く生きる多彩な女性の姿を描いている。 「女の映画」である本作の背景を振り返り、監督の生の声を聞いたとき、21世紀の今を生きるわたしたちへのメッセージが見えてくるかもしれない。
映画「20センチュリー・ウーマン」を観に行こう!映画で生きる女性の姿を、周りの友人・家族・今の自分に重ねてみたり。
「なんて素敵な映画だ! 音楽最高! 映像も素晴らしい!」マイク・ミルズファンの男たちは騒ぐだろう。しかし私たちは断言する。これは女のための映画だ、と。マイク・ミルズから女性たちに向けた人生のラブレターなのだ。
日々インターネットから情報があふれ出し、カズレーザー言うところの、wi-fiが目に飛びこむくらい宙を舞う21世紀の今、なぜ「20世紀の女たち」なのか。(そしてなぜGINZAはこの映画に12pもの特集を組むのか)。
今の世の中の根幹部分を動かしているのはほとんどが20世紀に生を受けた人間である。戦後からの激動期に生々しいぶつかり合いを経て、社会秩序のルールが生まれ、そのルールに抗う運動が生まれ、価値観が大きく変わり、政治と経済と文化がマッシュアップされた坩堝の中、私たち大人は育ってきた。夢と希望と絶望に揺れる、極めてダイナミズムあふれる時代だった。今の女性たちの仕事やファッションや人間関係の自由は、20世紀の先輩たちが勝ち取ってきたものだ。
見えないwi-fiを手でよけながら、20世紀の人間臭さに思いを馳せる。この映画の舞台になった1979年にさまざまな端緒を見つける。指導力不足と言われたカーター大統領の実は未来を見据えた演説の行方、それに対してマッチョで近視眼的なトランプ・ドクトリンと女性たちのデモ行進、アップルコンピュータとオーガニックブームとカセットテープとスケートボードカルチャー。21世紀を生きる今でも、私たちの愛しい生活の根っこは20世紀にある。
マイク・ミルズは1966年生まれで、この映画は彼の自伝でもある。NYでもロサンゼルスでもなくサンタバーバラという郊外に住むひとりのナイーブ男子が、個性的な母やまわりの魅力的な女たちに影響を受けながら育っていく。多感な10代の少年は今、マイク・ミルズ監督として、20世紀に生を謳歌していた女性たちへのオマージュをキラキラと昇華させたのだ。
映画コラボグッズ
90年代よりマイク・ミルズデザインの商品を扱っていたBEAMS。監督がBEAMSならと希望し、20TH CENTURY WOMEN×BEAMS BOYの限定コラボレートグッズが誕生!
劇中で写真家・アビーが収めた私物の写真が、Tシャツ、トートバッグにでかでかとプリントされている。5月27日(土)から、全国のBEAMS BOY各店舗および公式オンラインショップで発売。また、「ビームス ウィメン 渋谷」では5月27日(土)〜6月11日(日)のあいだ、限定ポスター(写真上)の展示販売も行われるそう。
アビーの劇中のセリフ“I’m going to need a story.”が写真の下にデザインされる。¥5,800
ピルをプリント。背中の襟元には、“20TH CENTURY WOMEN”の文字が。¥5,800
トート ¥4,500(以上20センチュリー・ウーマン×ビームス ボーイ | ビームス ウィメン 渋谷)
監督・脚本:マイク・ミルズ
6/3(土)丸の内ピカデリー/新宿ピカデリーほか 全国公開
1979年、CA州サンタバーバラ。シングルマザーのドロシア(アネット・ベニング)が、15歳の息子ジェイミー(ルーカス・ジェイド・ズマン)について、間借り人のアビー(グレタ・ガーウィグ)、ジェイミーの幼なじみジュリー(エル・ファニング)に相談したことから物語がはじまる。
提供:バップ、ロングライド/配給:ロングライド
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マイク・ミルズ≫1966年CA州バークレー生まれ。映画の舞台でもあるサンタバーバラで2人の姉とともに育つ。グラフィックデザイン、CM・MVの監督など幅広く活動したのち、2005年『サムサッカー』で初めて長編映画を監督。2010年には自らの父をモデルにした映画『人生はビギナーズ』を制作。本作が3作目の長編劇映画となる。
Still Photo: ©2016 MODERN PEOPLE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
Text: GINZA