2月のエンタメをレビュー!GINZA編集部がレコメンドする映画をご紹介。
G’s FILM REVIEW 脚本家・坂元裕二と監督・土井裕泰による初の映画作品『花束みたいな恋をした』etc.
『聖なる犯罪者』
前科者は聖職に就けないと知りつつも、神父になることを夢見る少年院に服役中のダニエルが、仮釈放された田舎でふと立ち寄った教会で司祭と名乗ったことからその代わりを命じられ、独自のスタイルで人々を魅了していく。ポーランドで実際に起こった事件をもとに、ヤン・コマサ監督が映画化した本作。ダニエルの信仰深さと、犯罪者であるということは並存するとわかっていても、人は見たいものを見ようとする生き物だと思い知らされる。
ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、渋谷ホワイト シネクイントほかにて全国順次公開中。
©2019 Aurum Film Bodzak Hickinbotham SPJ.- WFSWalter Film Studio Sp.z o.o.- Wojewodzki Dom Kultury W Rzeszowie – ITI Neovision S.A.- Les Contes Modernes
『天国にちがいない』
イスラエル領ナザレ出身のパレスチナ人エリア・スレイマン監督の10年ぶりの新作。自身が本人として登場し、新作の企画を売り込むべくナザレからパリ、ニューヨークと旅するが、“(土地と権利を奪われてきた)パレスチナ色が弱い”と相手にされない。旅先は美しい天国かと思いきや、傍観する彼の見つめる先には、居場所を奪う者、手放そうとしない者、自由を謳う者の戦い、絶望する老人と未来を背負う若者、という変わらない光景があった。
ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか順次公開中。
©2019 RECTANGLE PRODUCTIONS – PALLAS FILM – POSSIBLES MEDIA II – ZEYNO FILM – ZDF – TURKISH RADIO TELEVISION CORPORATION
『カルテット』でタッグを組んだ脚本家・坂元裕二と監督・土井裕泰による初の映画作品。ポップカルチャーが運命的につないだ2人の男女が宝物みたいな恋をし、同棲し、社会の中で真っ当に生きようとするほどにすれ違っていく。絹を演じる有村架純と麦に扮する菅田将暉が発し、坂元裕二が書くリアリティしかないセリフにチクリと突き刺されながら思うのは、結婚や別れという選択よりも、その経過こそがもっとも面白く美しいってことだ。
全国公開中。©2021『花束みたいな恋をした』製作委員会
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Recommender: 小川知子
ライター。映画『40歳の解釈: ラダの場合』、39歳のラダは痛々しくも勇敢で、勇気づけられる。