23 Jan 2022
G’s MUSIC REVIEW 新体制での初のアルバム。KIRINJIの『crepuscular』etc.

1月のエンタメをレビュー!GINZA編集部がレコメンドする新譜をご紹介。
『crepuscular』
KIRINJI
約8年のバンド体制にピリオドを打ち、2021年から堀込高樹のソロ・プロジェクトとして始動。新体制での初のアルバムは、始まりから暗喩的な示唆に富んだ表現で新たな物語の扉を開く。シンガー・ソングライターのマイカ・ルブテをフィーチャーした浮遊感のある楽曲やAwichが参加した映画主題歌など、最新の音楽的な嗜好を盛り込み、パンデミックの中で抱いた感情が歌詞に色濃く反映される。再び漕ぎ出す力強さと表現の豊かな可能性に熱くなる。
(ユニバーサル ミュージック)
『ユー・ヒート・ミー・アップ、ユー・クール・ミー・ダウン』
キング・クルール
今ロンドンでもっともクールなペッカム地区出身のシンガーソングライター、キング・クルールことアーチー・マーシャル。カニエ・ウエストやフランク・オーシャンからも共演を熱望される彼が、絶賛された3rdアルバムを提げて敢行し、ロックダウンによって中断した2020年のヨーロッパ・ツアーのベスト・テイクをCD化。がなったり囁いたり声色を変えながら観客を魅了する異端のパフォーマンスが、ライヴの熱狂をリアルに思い出させてくれる。
(Beat Records / XL Recordings)
『グソクムズ』
グソクムズ
吉祥寺を拠点に活動する4人組グソクムズのデビュー・アルバムは親しみやすくて鮮烈。はっぴいえんどやシュガー・ベイブに影響を受けたフォークロック・サウンドは、シンプルながら洗練されたギターリフや発明的なメロディなど彼らの個性によって新たな輝きを放つ。70年代に歌われた“風街”は東京オリンピックのため開発され変わっていった風景に想いを馳せるものだった。50年後の“風街”をスケッチするような本作にも変わらないロマンを感じる。
(P-VINE, Inc.)
Recommender: 奥浜レイラ
音楽・映画まわりのMC。ジャック・ホワイト新作の知らせに歓喜。2022年こそはどこかで拝みたいところ。
GINZA2022年1月号掲載