14 Feb 2023
日常のちいさな懸案をときほぐす。東 直子『レモン石鹼泡立てる』|G’s BOOK REVIEW

2月のエンタメをレビュー!GINZA編集部がレコメンドする新刊をご紹介。
『レモン石鹼泡立てる』
東 直子
(共和国/¥1,980)
歌人であり作家でもある東直子の散文集。谷崎潤一郎、川上弘美、綿矢りさ等を取り上げた書評、日常のちいさな懸案を解きほぐすエッセイを、ジャンル分けせず並べた構成が読み心地のよさをもたらす。波乱万丈の人生を送った与謝野晶子の人物像に分け入っていく一編は、晶子の作品に宿る「輝かしい勇気」の奥底にあるものを考察していて印象深い。《永遠に忘れてしまう一日にレモン石鹼泡立てている》という、著者の短歌から採ったタイトルも素敵。
Recommender: 北村浩子
ライター、フリーアナウンサー。BTSのリーダー、RMのソロアルバム『indigo』がすばらしく、毎日聴いています。
GINZA2023年2月号掲載