2010年代に入ると、キッチュなだけじゃない成熟した東京のイメージもすっかり定着。社会的には若者の安定志向も話題に。そんなテン年代は、大きなトレンドを追いかけるより自分の好きなものを着るファッションが主流。古着とハイブランドを気軽にミックスしちゃうトーキョースタイルは、ギークの流行で世界的なトレンドになった。そのほかストリートファッションやスタンダードなど、みんなの好みを挙げるときりがない。だからか、ファッションビルの広告も「その人らしさ」を応援するような、シンプルでストレートなものが目立つ。
2010年代に入ると、キッチュなだけじゃない成熟した東京のイメージもすっかり定着。社会的には若者の安定志向も話題に。そんなテン年代は、大きなトレンドを追いかけるより自分の好きなものを着るファッションが主流。古着とハイブランドを気軽にミックスしちゃうトーキョースタイルは、ギークの流行で世界的なトレンドになった。そのほかストリートファッションやスタンダードなど、みんなの好みを挙げるときりがない。だからか、ファッションビルの広告も「その人らしさ」を応援するような、シンプルでストレートなものが目立つ。
一時休業を迎えるも広告の新しさは増していく
仏デザインユニットM/M(paris)をディレクターに迎えたシリーズが2014年に始動。世界的キャンペーンを手がける2人が作る、アートピースのようなグラフィックが話題に。16年に渋谷パルコが一時休業。19年の再オープン時には、渋谷に新たなカルチャーを生み出すような、パルコらしい熱を帯びた広告に出会えることを期待。
パルコ 2016年 「Last Dance_生まれ変われるヨロコビよ。」 AD: 井上嗣也 Photo: 新 良太
生まれ変わる3年先の渋谷パルコへ
ビル建て替えのために、渋谷パルコが一時休業を迎える2016年8月7日までのキャンペーン。創業当時の“ひげロゴ”をモチーフにした広告に加え、中谷美紀、森山未來、Chim↑Pomエリイ、木村カエラが被写体のシリーズも展開。力強いビジュアルは、3年後の新しい始まりを予感させた。
パルコ 2017年 「PARCO 2017 SS」 CD: M/M(paris) Photo: ヨーガン・テラー
パルコの広告が再び旋風を巻き起こす
M/M(paris)がクリエイティブディレクターを務めたビジュアル。カルバン・クラインやディオール・オムのキャンペーンなどを手がける2人の斬新な発想によって、日本の広告界に新風が舞い込んだ。写真家にはヨーガン・テラーを起用し、同シリーズでTDC賞受賞。
2000年代以降、さまざまな新進気鋭のADたちを起用し続けているラフォーレ原宿。やや大人向けにシフトしたものの小さなブランドや限定ショップなどラインナップは独自路線。比較的短期間でイメージをがらりと変える広告の歴史は健在で、若い才能が自由に羽ばたける場として不動の地位を確立している。
後に流行するスタンダードへの予感と抵抗!?
ラフォーレ原宿 2010年 イメージ秋「I WEAR TABOO. LAFORET」 AD: 長嶋りかこ
2009年からラフォーレ原宿の年間広告を担当した長嶋りかこは、ビジュアルとメッセージの両方を一体として表現。2010年の「I WEAR TABOO. LAFORET」は、ヌードのモデルに幾何学模様のグラフィックを重ねて隠す挑戦的なビジュアル。リーマンショックによる不景気やファストファッションが台頭して画一的な装いになっていくことへの投げかけでもある。
ラフォーレ原宿 2011年 イメージ秋「be noisy. LAFORET」 AD: 長嶋りかこ
2011年のテーマは「be noisy. LAFORET」。制作の一番の衝動は自分の感情という長嶋の作品は、一見して、なにかおかしい?と違和感を覚える生理的な反応を呼び起こす。世の中はノームコアへと走っていくなか、あえて「ノイジーであれ」というメッセージが新鮮。
原宿らしさの真骨頂、不思議ポップな世界観
ラフォーレ原宿 2015年 イメージ春 AD: STEVE NAKAMURA
きゃりーぱみゅぱみゅのアートディレクション(2011〜2016)で一躍名を馳せたSTEVE NAKAMURAは、2015年からラフォーレ原宿の年間広告を担当。ちょっと不思議なポップさは原宿のイメージそのもの。人間で植物を表現した。
ラフォーレ原宿 2017年 イメージ春 AD: STEVE NAKAMURA
2017年は、身近な素材をファッションのコンテクストに落としこむ試み。第一弾のSSは、洋服をチーズで表現。
2016年、新宿駅にオープンしたNEWoMan。大人の女性たちに向けて、シンプルで質の良い生活を提案する。ルミネ同様駅近の利便性をいかして、ショップやカフェだけでなく婦人科や保育園も併設するなど、女性ファーストなコンセプトが広告にも表れている。
NEWoMan 2016年 オープニング
シンプルに、でも充実した人生を送る女性たちへ
本物を求める大人の女性をターゲットにした新しいファッションビル「NEWoMan」。2010年代の女性像としてAD上西祐理が思い浮かべたのは、信念をもった強度のある人。光をまとった女性のイメージは、シンプルな構成ながら、とても強い印象。
パルコ
池袋に続き、1973年に渋谷パルコが開店。ファッションだけでなく、劇場やギャラリー、ライヴハウスも運営、ユースカルチャーを全体として発信し続け、渋谷を若者の街にした中心的存在。現在は2019年の再オープンに向けて一時休業中。 shibuya.parco.jp
ラフォーレ原宿
1978年開店。原宿=ファッションの街のランドマーク的存在。DCブランドブームを生み、バーゲンの行列が風物詩になるなど、流行の発信源でもある。クリエイターの発想が自由に発揮できる一風変わった広告も含め、強烈な個性がポイント。 www.laforet.ne.jp
ルミネ
1976年に新宿にルミネが開店したのが始まり。駅ビルとして営業していたが、2000年頃にファッションビルへと華麗な転換を図る。駅直結の利便性と買いやすい価格帯が人気を博し、一躍日本有数のファッションビルに。 www.lumine.ne.jp
Cooperation: PARCO, Laforet HARAJUKU, LUMINE, NEWoMan
Photo: AFLO, amanaimages, Getty Images
Text&Edit: Satoko Shibahara, Satoko Muroga
〈関連記事はこちら〉
《ファッションビルは、 非日常から日常へ》ジャーナリスト 川島蓉子さんにファッションビルと広告の関係を、たっぷり語ってもらいました!
クリエイティブディレクター小池一子さんに聞きました!《「表現」になったファッションと広告》とは?
渋谷パルコ、新宿ルミネ、ラフォーレ原宿が開店した70年代の広告。エネルギッシュな表現のキーワードは“女性”
ファッションビルが流行を牽引した1980年代の広告。世は広告の黄金期!ナンセンスなコピーとビジュアルこそ’80s
パルコの広告を支えた 写真家・操上和美さんにインタビュー!撮影時の話や当時流れていた空気を振り返って「アイデアは現場で生まれてくるもの」
原宿と渋谷のストリートが輝きを見せた1990年代の広告。グランジ・ヒップホップ・ギャル、これぞ ’90sのユースカルチャー!
トーキョー=カワイイが広まった2000年代の広告。ねじれた方向に突き抜けたカルチャーが世界を魅了!
言葉を次々と繰り出すルミネのコピーライター、尾形真理子さんにインタビュー!「ルミネらしさってなんだ?」
NEWoManオープン広告のAD、 上西祐理さんにインタビュー!自分や友達のリアルからイメージを膨らませるアティチュード「たおやかに、強くサバイブする女性を表したい」