ファッションビルが流行を牽引した1980年代の広告。世は広告の黄金期!ナンセンスなコピーとビジュアルこそ’80s

ファッションビルが流行を牽引した1980年代の広告。世は広告の黄金期!ナンセンスなコピーとビジュアルこそ’80s

1980s

バブル絶頂期を迎えた80年代は、広告業界も相当に華やか。西武百貨店の「おいしい生活」をはじめ、さまざまな企業の広告で名作が生まれた。コピーライターやAD、デザイナーは最先端の職業としてもてはやされ、新時代の旗手となった。そんな余裕からか(?)表現はやや不思議傾向に。そして、80年代はファッションビルが流行を牽引した時代でもある。次々と登場するDCブランドを上手にエディットし、ひとつの場に閉じ込めたパルコやラフォーレ原宿こそ、若者の聖地だった。バーゲンに開店前から長蛇の列ができるのも東京の風物詩に。

パルコ

新しい表現が次々と生まれる 世は広告の黄金期

80年代もパルコの広告は勢いを止めることなく、先進的であり続けた。中でもAD井上嗣也は、チャック・ベリーやジェームス・ブラウンなど世界的なミュージシャンを起用したキャンペーンをはじめ、その表現は常に大胆で軽やかだった。コピーライターとして活躍していた糸井重里が、パルコ出版の伝説的サブカル誌『ビックリハウス』の編集を務めたのもこの時代。

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パルコ   1981年   「ROCKIN’ ROLLIN’ PARCO」 AD・D: 井上嗣也   Photo: 浅井愼平   Copy: 下村紀夫   PL: 對馬壽雄

ロックの神様によるロックな広告

ロックン・ロール界のレジェンドであるチャック・べリーを起用したこのポスターは、AD井上嗣也がパルコで初めて手がけた広告。限られた撮影時間の中で、写真家の浅井慎平が押したシャッターもごくわずかだったという。「PARCO」の文字はチャック本人の手書き。企業ロゴを使用しない斬新な表現で、ADC最高賞を受賞。

 

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パルコ   1985年   「でっぱるわ。」 AD: 成瀬始子 Photo: 田原桂一

糸井重里がコピーで 謳う“でっぱり精神”

「たいら たいらに どなたが させた つるり のぺりに いつから なった でっぱるわ。パルコは ことしも どんどどどんと でっぱるこ」。糸井重里によるリズミカルなコピーと、日本で一番でっぱっている富士山の写真。人と違うこと、目立つことを恐れずに前進する、パルコの攻めのスタイルを力強く表現した広告。

 

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パルコ   1986年   「愛は、いろいろ救う。」 AD・D: 井上嗣也   Photo: 三浦憲治   Copy: 糸井重里   PL: 對馬壽雄

ジェームスの汗こそ 撮影時のライヴ感

撮影当日、スタジオに入ってきたジェームス・ブラウンはどこか顔色が優れなかったという。しかし“Get Up(ゲロッパ!)”でおなじみ「SEX MACHINE」の音楽をかけると歌いだし、みるみるうちに健康的な肌色へ。写真家・三浦憲治による、ジェームスのテンションMAXな瞬間を捉えた1枚。

 

 

ラフォーレ原宿

ナンセンスなコピーと ビジュアルこそ、80年代らしさ 

80年代のラフォーレは、「ナンセンスコピー」で抜きん出た。ダジャレも多い意味不明な言葉と、AD村瀬秀明によるインパクトのあるビジュアルの組み合わせは、見る者をますます煙に巻く。ナンセンスやかみ合わない不条理さは、広告に限らず、文学や演劇、音楽など、80年代のカルチャー全般に見られる傾向。その後、類似広告が増えると、次の手としてポップカルチャーに詳しい永島佳を起用、海外トレンドを積極的に取り入れるようになる。このセンスは86年にオープンしたラフォーレミュージアムにも反映され、ユースカルチャーの発信地=ラフォーレのイメージはじわじわと浸透していく。

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ラフォーレ原宿   1987年   グランバザール 夏「サマー・サンタ」 AD: 村瀬秀明

 

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ラフォーレ原宿Part2 1987年 イメージ初夏「からし明太子のような女。」 AD: 村瀬秀明

 

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ラフォーレ原宿 1988年 イメージ初春「ロック、54」 AD: 村瀬秀明

 

伊勢丹 
大人に向けたシックな広告

伊勢丹は(厳密にはデパートだけれど)ファッションに軸をおいた印象的な広告を展開。名コピーライターの眞木準と組み、シックなモノクロ写真に大人に向けた言葉を合わせ、次々登場したシリーズが有名だ。ターゲットは30代から40代とやや高め。なかでも「恋を何年、休んでますか。」は、トキメキ=身だしなみに目を付けた名コピー。いずれ脱ぐことがわかって着飾る気分や、二度目のハタチを迎えるリスタートの気持ちは、いずれも大人のシーンだからこそ成り立つもの。ファッションは若者のもの、と相場が決まってしまっていた社会に、気づきを与えてくれる新鮮な広告だ。

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伊勢丹   1988年 「恋を何年、休んでますか。」 AD: 戸田正寿   Copy: 眞木 準

 

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伊勢丹   1992年 「四十才は二度目のハタチ。」 AD: 戸田正寿   Copy: 眞木 準

 

パルコ

池袋に続き、1973年に渋谷パルコが開店。ファッションだけでなく、劇場やギャラリー、ライヴハウスも運営、ユースカルチャーを全体として発信し続け、渋谷を若者の街にした中心的存在。現在は2019年の再オープンに向けて一時休業中。 shibuya.parco.jp


ラフォーレ原宿

1978年開店。原宿=ファッションの街のランドマーク的存在。DCブランドブームを生み、バーゲンの行列が風物詩になるなど、流行の発信源でもある。クリエイターの発想が自由に発揮できる一風変わった広告も含め、強烈な個性がポイント。 www.laforet.ne.jp


ルミネ

1976年に新宿にルミネが開店したのが始まり。駅ビルとして営業していたが、2000年頃にファッションビルへと華麗な転換を図る。駅直結の利便性と買いやすい価格帯が人気を博し、一躍日本有数のファッションビルに。 www.lumine.ne.jp

Cooperation: PARCO, Laforet HARAJUKU, LUMINE, NEWoMan
Photo: AFLO, amanaimages, Getty Images
Text&Edit: Satoko Shibahara, Satoko Muroga

GINZA2017年7月号掲載

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