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勢い有り余る!その創作の源泉とは? 「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」 @東京都現代美術館

勢い有り余る!その創作の源泉とは? 「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」 @東京都現代美術館

【TOP画像】横尾忠則《トイレットペーパーと女》2017年 作家蔵(横尾忠則現代美術館寄託)

現在、東京都現代美術館で開催中の「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」が好評だ。本展は、日本を代表するの現代美術家の一人、横尾忠則(1936-)の芸術の全貌を、絵画を中心に初期のグラフィック・ワークを加えた豊富な作品によって、明らかにするもの。

いわゆる「画家宣言」から40年。アーティスト・横尾忠則は、めまぐるしくスタイルの変遷を重ねながら、森羅万象あらゆるものをモチーフとして、おびただしい数の作品を生み出してきた。今回は、絵画を中心に初期グラフィック作品を加えた600点以上もの作品が出品されていて、横尾芸術のさまざまな表現を見ることができる。


横尾忠則《実験報告》1996年 東京都現代美術館

本展は、今年4月まで愛知県美術館で行われていた「GENKYO横尾忠則」の東京展となる。とはいえ、今回は横尾忠則の総監修のもと、出品作品を半分以上入れ替え、構成を根本から見直たんだそう。つまり、全く新しい展覧会として生まれ変わっているのだ。「作品による自伝」をテーマに企画された愛知での展示を、作家自身がリミックスするなんて、なんとも横尾らしいアプローチだ。

Wの惑星|横尾忠則横尾忠則《Wの惑星》2005年 作家蔵

 

注目は、コロナ禍で取り組んだ30点を超える大作たち。横尾は、昨年から今年にかけて、外出も来客も制限しながら、日々アトリエにこもって絵画制作に没頭してきたという。これらが集められた展示室には「原郷の森」という名前が付けられている。横尾は、すべての人間の魂のふるさと「原郷」から汲み上げた、豊かで奔放なイメージの世界「幻境」を、数多の独創的な絵画に描き出してきた。最新作が並ぶ「原郷の森」、そして本展自体が、そうした横尾の「現況」に触れる機会となっている。

横尾忠則《追憶あれこれ》2019年 作家蔵(横尾忠則現代美術館寄託)

また、横尾が滝の絵を描くために収集した1万枚を超える絵はがきのコレクションで構成された《滝のインスタレーション》も必見だ。滝の絵はがきが天井・壁面を覆い尽くす空間が、怒涛のように迫ってくる。このほか、代表シリーズである「Y字路」や、今見てもカッコいい6070年代のグラフィック作品も充実していて、圧倒的な物量感にくらくらしてしまう。

横尾忠則《暗夜光路 赤い闇から》2001年 東京都現代美術館

会場の外には、コロナと向き合う《WITH CORONA》シリーズコーナーが。横尾は20205月から、自分の作品や写真を素材に、マスクをコラージュしたイメージをツイッターとブログで発信し始めた。毒気たっぷりのユーモアが楽しいこの作品は、コロナ禍でのネガティブイメージをポジティブなものに変えてくれる。

なお、六本木にある21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3では、カルティエ現代美術財団が主催する「横尾忠則:The Artists」も、同じく1017日まで開催されている。こちらは、同財団の依頼で、財団における展覧会の歴史を刻んできた人々を横尾が描いた肖像画のシリーズ、全139作品が見られる。

横尾忠則《誰か故郷を想わざる》2001年 公益財団法人アルカンシエール美術財団/原美術館コレクション

80代半ばとなった今も、すごい勢いで創作を続ける横尾。そのエネルギーの源泉を垣間見られるのが、この展覧会だと言える。観客である私たちは、彼の作品から力をもらって、コロナ禍の今を乗り越えていきたい。

横尾 忠則 よこお・ただのり

1936年、兵庫県西脇市生まれ。高校卒業後、神戸でデザイナーとしての活動を始め、1960年に上京、グラフィック・デザイナー、イラストレーターとして脚光を浴びる。その後、1980年にニューヨーク近代美術館で大規模なピカソ展を見たことを契機に、画家としての本格的な活動を開始。様々な手法と様式を駆使して森羅万象に及ぶ多様なテーマを描いた絵画作品を生み出し、国際的にも高く評価される。2000年代以降、国内の国公立美術館での個展のほか、パリのカルティエ現代美術財団(2006)をはじめ、海外での発表も数多く行われている。2012年に横尾忠則現代美術館(兵庫県神戸市)、2013年に豊島横尾館(香川県豊島)開館。

 

GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?

会期: 開催中~2021年10月17日
会場: 東京都現代美術館
住所: 東京都江東区三好4-1-1
時間: 10:00~18:00(展示室入場は閉館30分前まで)
休館日: 月(8月30日、9月20は開館)、9月21日

※予約優先あり。詳細は展覧会ウェブサイトへ
公式HP

柴原聡子

建築設計事務所や美術館勤務を経て、フリーランスの編集・企画・執筆・広報として活動。建築やアートにかかわる記事の執筆、印刷物やウェブサイトを制作するほか、展覧会やイベントの企画・広報も行う。企画した展覧会に「ファンタスマ――ケイト・ロードの標本室」、「スタジオ・ムンバイ 夏の家」など

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