インターネットを回遊していると、思わぬところで遭遇することもしばしば。 一度は見かけたことがあるかもしれないネット×アニメーション現象をリサーチ!
巷で噂のネット×アニメ―ション現象をリサーチ!
巷で噂のデジタルキャラクター
コントと融合!『マリマリマリー』に夢中
“論破王”でおなじみのひろゆきの口調を真似る数学の先生、誘拐された時でさえ母親とまともに会話できない反抗期の子どもなど、秀逸な設定とキャラ描写がクセになる!映像制作会社のケイコンテンツによるアニメコント『マリマリマリー』は、2020年8月にYouTubeチャンネルを開設。現在までに動画本数は200本強、登録者数は126万人にのぼる(2022年10月現在)。
制作のコアメンバーは4人。テレビやラジオなどの構成を手がけ、四千頭身、土佐兄弟、ロッチらの作家も務める深見シンジと、同じくテレビの企画構成やAマッソらのYouTubeを担当するさかもと良助の放送作家2人がネタを担当。シティポップ感のあるグラフィックをイラストレーターのMORISAKI SHINYAが描き、ディレクター・プロデューサーとして柳将博が参加。声優は知人に依頼し、会話のユルさはリアリティ十分。YouTubeという身近なメディアゆえ作品との距離も縮まる。新作が待ち遠しい。
主要登場人物のレイジ、かなめ、美月、スミちゃんの関係性にも注目。グッズも販売中(marymarymary.shop)。
YouTubeチャンネル→ www.youtube.com/channel/UCOnA15zQ7OafLsnN8J-CMvg
『新星ギャルバース』に見るアニメとNFTの行方
©Shinsei Galverse
NFTアートの世界にもアニメが進出。草野絵美がクリエイティブディレクションを手がける『新星ギャルバース』は、平成初期の作品にインスパイアされた日本発のジェネラティブNFTコレクション。アーティスト大平彩華が描く“ギャル”たちは、ノスタルジックな魅力漂う新鮮な顔ぶれだ。今年4月に発売された8888体の“ギャル”は即日完売。世界最大のNFTマーケットプレイス「OpenSea」の24時間ランキングで1位に輝く快挙を遂げた。
そして『新星ギャルバース』の目的は「アニメを作ること」。コミュニティとしての側面を持つNFT市場では、本コレクションのようにデジタルアートを保有すると制作に関わることができるのも魅力のひとつ。製作委員会的な場を設ける発想は、アイドルやアニメに造詣が深く、インターネットのトレンドを熟知している草野だからこそ。今後の展開にも注目だ。
『新星ギャルバース』は二次流通マーケットでも売買されている。保有者には限定マンガやステッカーなどのグッズ販売も行われる。www.galverse.art
GIFの歴史をひとつかみ
インスタグラムのストーリーズに欠かせない「GIFアニメ」は、生誕35年を誇る歴史あるフォーマット。GIFとは「Graphics Interchange Format」の頭文字をとった略称で、1987年に誕生した256色以下の画像を扱う静止画形式のこと。生みの親は米パソコン通信会社CompuServe勤務のスティーブ・ウィルハイト。1990年には複数のGIFを動かすライセンスフリーのGIFアニメが登場し、パソコン通信全盛期に普及した。2000年代にはFlashが台頭するも、iPhoneがサポートをせず衰退。以降MPEG動画が全盛になり、軽くて汎用性の高いGIFが広く浸透した。
インスタグラムのGIFアニメはウェブサービス「GIPHY」の情報を参照している。検索語句を工夫して好みの一点を探そう。なおGIFの呼び方はウィルハイト曰く「ジフ」が正解。
「#indie_anime」で追う 自主制作アニメ
デジタル技術の進歩により、優れたインディアニメが続々と誕生している。クリエイターたちの活動を世に届けるべく、ずっと真夜中でいいのに。「勘ぐれい」のMVなどを手がけるアニメーター、こむぎこ2000が立ち上げたのが「#indie_anime」というプロジェクト。Twitter上でハッシュタグを付けて作品情報を呟くと、管理人により拡散され、国内外の注目作をチェックできる。
この7月にシェアされた『魔法のない世界で生きるということ』は、「Euluca Lab.」を主宰する秋鷲の自主制作アニメMV。卒業制作として3DCGやキャラクターデザイン、脚本などを一人で手がけた作品だ。声優には花江夏樹と歌い手のphiloを迎え、7分間とは思えない濃密な物語を繰り広げる。インディアニメの多くはYouTubeなどで閲覧できるため、新しい才能をキャッチしたい人はアクセスを。
2020年4月にアカウント設立。Twitterアカウント「@indie_anime」をフォローすると、話題のアニメが一目瞭然。Twitterベースなので動画やクリエイターの情報を入手しやすい。
ループ映像が心地よいFuture Funk
(画像提供: takuchi)
(画像提供: takuchi)
2010年代初頭にインターネットで生まれた音楽ムーブメントVaporwave。80〜90年代の緩いAORに、VHSやポリゴンの粗いテクスチャ、美術彫刻写真などを組み合わせるループ動画が流行した。そして13年頃、YouTubeのチャンネル『Artzie Music』が日本のシティポップとレトロアニメを合体させた動画をアップ。Vaporwaveから派生したFuture Funkとして、韓国のNight TempoやメキシコのマクロスMACROSS 82-
99といった日本文化に影響を受けたアーティストが参入した。音ネタやループ映像にアニメ要素を取り入れ、懐かしくも新しい音楽が楽しめる。ポップで踊れる曲が多いのも特徴。
マクロスMACROSS 82-99の新作『SAILORWAVE III』のジャケットもセーラームーン。楽曲はYouTubeでの視聴やSpotifyでの配信の他、Bandcampなどでカセットテープ販売されることも。ラジカセで聴くと一層味が出る。