今年春、SNSやネットのまとめサイトで、あるクッキーが話題に。それが写真の若冲シリーズ。首元や羽の鳥っぽさ、脚のうろこ感がありえないくらいに忠実に再現されていて、もはやクッキーの枠を越えたアート!
「先日、上野の東京都美術館に『若冲展』(終了)を見に行ったら、3時間待ちで泣く泣く断念。悔しいから、せめてもと買った図録を参考に作ったんです。それが予想以上の反響で……」と作者である「アントルポ」の小倉千紘さん。
焼き菓子のパティシエだったが、おまけ感覚で作っていたアイシングクッキーが人気になり、クッキーに特化したブランドをスタートしたのだそう。リップにアイシャドー、ダイヤル電話。小倉さんのクッキーは、若冲に限らず、どれも一目で「アントルポ」のだ!とわかるくらいオリジナリティたっぷり、インパクト大。
「アイデアが浮かんだら、ネットで画像検索をするなど下調べをして、よくあるデザインにならないように注意しています。色味も、一般的なパステルカラーじゃなくて、もっとぱっきりした色を使ったり。でも実は、自分が着る服は白、黒、茶ばかりでモノトーン好き。油断すると、その傾向が出てしまうので要注意なんです」
オーダーはウェブサイトで受け付け中。化粧品から食品まで、さまざまな企業のノベルティクッキーの依頼も殺到していて、タイミングによっては納期が数カ月先になることも。でも、待つ価値あり!
日用品から食べ物まで、意外性たっぷりのモチーフがいっぱい。食べるのがもったいない! オーダーメイドが基本で、注文を受けてから制作する。
「南天雄鶏図」などを再現。見よ、このリアルさ。「苦労したのは立体感をいかに出すか。グレーの羽の部分は、硬めのアイシングでボコボコさせているんです」。サイズはなんと30cm超え。
イメージや好きな色などを聞いた上で、デザインを起こす。動物の図鑑やアート本などからヒントを得ることも。