“アートハウス”の歴史に欠かせない7本の映画を上映し、新進気鋭の監督や編集者がその魅力を解説するイベント「現代アートハウス入門 ネオクラシックをめぐる七夜 Vol.2」。2021年12月11日(土)から17日(金)までの期間、全国にある24館の劇場で同時開催される。
“アートハウス”をテーマにした7日間の映画イベントが開催。三宅唱監督らによる解説も必見
今回行われるイベントは、“アートハウス”がテーマ。どういう意味か調べてみると、日本でいうミニシアターのことらしい。その誕生はというと、1950年代のアメリカ。上映されていたのは、ハリウッド以外で製作された芸術性の高い作品だ。楽しさや美しさだけでなく、絶望的な現実や人間の業も描き、必ずしもハッピーエンドを迎えるわけではない。そんな世界観は数多くの映画監督や文化人に影響を与えたという。
「現代アートハウス入門 ネオクラシックをめぐる七夜 Vol.2」では、アートハウスに縁の深い「ネオクラシック(新しい古典)」と呼ばれる7作品を上映。全国のミニシアター24館で同時刻に開始される。中でも気になるのは、7日目に公開されるロベルト・ロッセリーニ監督の『イタリア旅行』。主人公の夫婦がナポリをはじめイタリアの様々な都市をめぐる様子を描いたモノクロ映画だ。予告編を見てみると、まず目がいくのは石畳の街や美しい海。しかし、この夫婦が倦怠期という設定と、実は演技が即興的に行われているという背景を知ると、途端に緊張感のある映像に見えてくる。さらに、ヌーヴェル・バーグの巨匠、ジャン=リュック・ゴダールにも影響を与えた作品と聞けば、いっそう興味が湧く。
また、5日目に公開されるルイス・ブニュエル監督の『ビリディアナ』は、反倫理的なストーリーが批判を呼び、スペインで公開停止になった映画。予告編も短いながらかなり過激だ。しかしその反面、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞するなど、国際的に高い評価も受けたという。その魅力はどこにあるのか、ぜひこの目で確かめてみたい。
ほかにも、イラン映画の名作『クローズ・アップ』や、イベントの公式サイトによれば「なぜか笑いが込み上げてくる」ほど絶望的なストーリーの『マッチ工場の少女』など、個性的な作品が盛りだくさん。さらに、上映終了後には全国の参加劇場を中継でつなぎ、登壇ゲストによるトークと各地の観客との“Q&A”を実施。『きみの鳥はうたえる』を手がけた三宅唱監督や『あのこは貴族』の岨手由貴子監督など、豪華な講師陣にも注目だ。
時には人生を変えてしまうかもしれないほど、美しく刺激的な作品の数々。この機会にぜひ奥深い世界を堪能したい。