休刊後も熱く語られる機会の多い『オリーブ』。何に惹きつけられたのでしょう?みんなが好きだった『オリーブ』って?時代とともに変化した雑誌のスピリットを懐かしいページとともに振り返ってみましょう。
🎨CULTURE
グラフィックデザイナー/菊地敦己が考える『オリーブ』精神
かわいいだけじゃない
サブカル誌としての深み。
菊地敦己
グラフィックデザイナー
印象に残っているのは、大森伃佑子さんがスタイリングを手がけた下北沢ロケのファッションページ。外国風のきれいにしつらえた写真じゃなく、読者が親しんだ街ロケでその街らしさを全面に出した写真って、当時は新鮮だったんじゃないかな。ネームが大きく入っているのもすごくいい。写真集化するファッション誌に反して、この頃の雑誌はリードとキャッチを入れることで、写真の見方を先導するという方法論がしっかりあるから、イメージが読者に一瞬で伝わる。写真も、洋服がいかにきれいに写るかじゃなく、写ってる女性像が素敵かどうかが基準になっている感じ。新しいことをやるのが当然という意識や、みんなで一緒になって面白いことをやろうという時代の空気感、憧れますね。『オリーブ』に深みがあるのは、表面のかわいさだけじゃない、それを着てどこへ行って何をする、という文化的な活動が背景にあるからなんですよね。
97年10月18日号「おしゃれルール違反!」。「新しい女性像があって、楽しい」
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菊地敦己
1974年東京生まれ。〈ミナ・ペルホネン〉などのグラフィックデザインを手がける。2000年ブルーマークを設立、11年解散。同年、個人事務所設立。
Photo: Jun Kato Text&Edit: Tomoko Ogawa