香川県の直島に「ヴァレーギャラリー」と「杉本博司ギャラリー 時の回廊」がオープン。草間彌生の『ナルシスの庭』や、ガラス張りの茶室『聞鳥庵(もんどりあん)』などが展示される。
直島に新しく2つのギャラリーがオープン!現代アーティストの草間彌生や杉本博司の作品を展示
国立公園に認定された瀬戸内海に位置し、豊かな自然と複数の美術館が同居する直島。90年代前半、ベネッセコーポレーションの創業者・福武哲彦が「人と文化を育てる」をコンセプトに開発を行った地域で、ホテル付きの美術館「ベネッセハウス」や、施設全体が地下に埋まった「地中美術館」など、ユニークな施設が立ち並ぶ。そんな“現代アートの聖地”に新たにオープンするのが「ヴァレーギャラリー」と「杉本博司ギャラリー 時の回廊」だ。
山の斜面にひっそりと佇む「ヴァレーギャラリー」は、安藤忠雄が“祠”をコンセプトに設計。重厚なコンクリートと金属で覆われた建物は閉鎖的に見えるが、壁や屋根に設けられたわずかな隙間から日の光が降り注ぐ。アート、建築、自然が調和した空間作りが魅力だ。
展示作品で注目したいのは、草間彌生の『ナルシスの庭』。1966年にヴェネチア・ビエンナーレでゲリラ的に発表され、彼女の名を知らしめるきっかけになったインスタレーション作品だ。他にも、産業廃棄物を焼却した後に生じる物質“スラグ”を用いて、直島の88カ所に祀られている仏像を表現した、小沢剛の『スラグブッダ88』も見逃せない。
「杉本博司ギャラリー 時の回廊」では、写真や建築など幅広い分野で活躍し、直島のアートプロジェクトにも長年携わってきた杉本博司の作品を公開。ぜひともお目にかかりたいのは、ヴェニスやヴェルサイユ、京都で展示され話題を呼んだ『聞鳥庵(もんどりあん)』だ。池の上に設置されたガラス張りの茶室は、周囲の景色やその日の天気によって表情を変える。日本的な“わびさび”と西洋的なミニマリズムを同時に感じられる唯一無二の世界観を堪能したい。
アートの名作と雄大な自然を心ゆくまで楽しむことができる直島。この機会に訪れてみて。
「ヴァレーギャラリー」
「杉本博司ギャラリー 時の回廊」
Text: Koki Yamanashi
TOP:Yayoi Kusama, Narcissus Garden, Stainless steel spheres, 1966/2022, Copyright of Yayoi Kusama Photo: Masatomo MORIYAMA