昭和の喫茶店を紹介しつつ、その店をイメージして聴きたくなる80年代の名曲を80s好きライターの水原空気がレコメンド。Vol.18は鮫洲運河のそばで40年以上愛されている「DAT」。イタリアンの歴史に思いを馳せながら、ボリュームたっぷりのピザ風スパゲッティを頬張るべし。
前回訪れたのは巣鴨「伯爵」。
昭和の喫茶店を紹介しつつ、その店をイメージして聴きたくなる80年代の名曲を80s好きライターの水原空気がレコメンド。Vol.18は鮫洲運河のそばで40年以上愛されている「DAT」。イタリアンの歴史に思いを馳せながら、ボリュームたっぷりのピザ風スパゲッティを頬張るべし。
前回訪れたのは巣鴨「伯爵」。
鮫洲「DAT」
80年代初めに人気を博したドラマ『ちょっとマイウェイ』。桃井かおりが、家族経営のレストランを切り盛りするコメディで、代官山の洋食レストランが舞台だったが、当時は日本の食文化が急激に進化した時代。鮫洲運河のすぐそばにあるDATは、まさに同時期の1981年オープン。最初はイタリアン・レストランとしてのスタートだったという。
都内の名店で修業し、かなり気合いを入れて開店した店主だったが、イタリア語のメニューを見た地元のお客さんたちに「これ、美味いけど覚えられないなぁ」と言われてしまう。そこで、親しみやすいピザやスパゲッティ、ピラフにメニューを絞り、サイフォンコーヒーも楽しめる喫茶レストランへと舵を切ったのだそう。
人気はピザ風のスパゲッティ。「え? どゆこと?」と思うのも束の間。まかないからヒントを得たという、野菜たっぷりのナポリタンにオランダ産のゴーダチーズをかけたひと皿に納得。これがクセになるのです。もう一つの名物、薄焼きのピザはトマトソースもタネも手作り。
単品のコーヒーゼリーは、なかなかの大きめサイズ。固くてしっかりした懐かしの味。
近くの運河には四季折々の花が咲き、散歩にも絶好の場所。
鮫洲運転免許試験場からもすぐ近くなので、免許更新時にぜひ。
DATという店名は開店時のメンバー3人の頭文字から取ったそうで、本来はディーエーティーと読む。けれど鮫洲のお客さんたちが「ダット、ダット」と呼ぶので、もう読み方はお任せしているそう。そんなマイウェイなあり方も、長くこの地で愛されている理由なのだ。
この店の帰り道に聴きたい80年代の名曲
『夜明けのマイウェイ』
パル
今回のオススメは、ドラマ『ちょっとマイウェイ』の主題歌、パルの『夜明けのマイウェイ』。ふわりとした女性ヴォーカルが耳に残ります。エヴァンゲリオンでおなじみの高橋洋子さんも、2015年に『20th century Boys & Girls II 〜20世紀少年少女2〜』というアルバムでカバーしている。20世紀少年ならぬ少年少女かぁ。きっと同じようにドラマを観て、忘れられない一曲だったに違いない。
水原空気のひとこと
『ちょっとマイウェイ』はファンの熱望もあり2006年にDVD化されている。桃井かおりと研ナオコの掛け合いや、八千草薫の大人かわいいセリフ回し、家族や仲間との屈託のない会話と距離感に、憧れたなぁ。みんなかわいくてイキイキしていたから。DATではオープン当時の話なども聞いてみたいところ。レストランの歴史に新たな発見があるかも。
赤いチェックの看板が目印。
80年代好きライター。夏の扉を開け秘密の花園へ時をかける探偵物語。GINZAウェブ「松田聖子の80年代伝説」でインタビュアーも。