11 Mar 2023
80年代好きライターの純喫茶巡り Vol.20 鶴見の「山百合」で新世代マスターが作るハッピー・ナポリタンを!

昭和の喫茶店を紹介しつつ、その店をイメージして聴きたくなる80年代の名曲を80s好きライターの水原空気がレコメンド。Vol.20は新世代のマスターが最近店を継いだばかりの鶴見「珈琲専門店 山百合」へ。盛りのいいナポリタンと昔ながらのサイフォンコーヒーを、山小屋のようなほっこりする空間で召し上がれ。
前回訪れたのは藤沢「ジュリアン」。
鶴見「山百合」
鶴見の「珈琲専門店 山百合」は1975年オープン。長年地元の人々に愛されてきた喫茶店だ。しかしマスターの引退に伴って2021年に閉店話が浮上したことがある。そんなとき、ひょんなことから店を継いだのが現在の二代目マスター・百合子さん。元々は小学校の教師をしていたが、辞めて休養していた時期にお店の話があったのだそう。”喫茶店好き”は以前から友人に話していたものの、「鶴見の喫茶店、やってみない?」と縁あって紹介され、今日に至る。「ミニチュアを作ってくれるお客さんがいるくらい雰囲気のある佇まいだったので、ぜひやってみたいと思いました」
ティラミス、プリン、ブラウニーなどのスイーツは百合子さんのオリジナル。それ以外は、コーヒーも含めて先代のレシピや味を引き継いでいる。オススメは何と言っても盛りのいいナポリタン。「少なめ」「普通」「大盛り」とあるので、女性なら「少なめ」指定でも良いかも。味もボリュームも満点!頬張れば誰もがハッピーに。王道のカレーも人気です。
クセになるコーヒーゼリーは、しっかり固めでビターな味わい。ラム酒を添えた「大人のコーヒーゼリー」もトライしたい。二代目マスターの百合子さんにとって鶴見は全く初めての街だったが、臆せずチャレンジした。まだ引き継いで1年半。けれど、既に地元の人たちからも愛されているのがよくわかる。教師のときと共通しているのは、人のことを型にはめて判断しないこと。お客さんの個性や心持ちを知ることが一番大切なのだそう。つかず離れずのほど良い距離感で接客しつつ、「空間と味を楽しみながらリラックスしていただけたら嬉しいです」
この店の帰り道に聴きたい80年代の名曲
『時をかける少女』
原田知世
今回のオススメは原田知世さんの『時をかける少女』。厨房で働く新マスターの姿を見ていたら、自然と思い出しました。時代も場所も飛び越えて縁がつながるのは、必ず意味があるのだろうと信じている私。大林宣彦監督の映画『時をかける少女』も、戯曲のような独特のセリフ回しとエンドロール、そして15歳の原田知世さんの可憐さが大変印象的な名作だけれど、喫茶店にはあの映画に通じる「時空を超越した魅力」があります。
水原空気のひとこと
そういえば原田知世さん主演のドラマ『スナック キズツキ』に最近ハマっています。スナックと言ってもお酒は置いていないので、ほぼ喫茶店のお話なのだけれど。お客さんの心のわだかまりを、さりげなく解きほぐすマスター役の知世さんがとても良いのです。時をかけて素敵に生きる知世さんの姿そのものが、既に癒し。励みになる。大林監督は知世さんにだけでなく、『時をかける少女』を観た全員にも大きなギフトを送ってくれていたことに気づかされます。
百合柄の壁紙にも注目!
「珈琲専門店 山百合」
住所:神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央4-21-12
Tel: :045-521-0560
営業時間:11:00〜19:00(金~21:00)
定休日: 不定休
20席 禁煙
ナポリタン¥900
カレー¥1050
ピザトースト¥800
コーヒーゼリー¥600
アメリカンコーヒー¥500
水原空気 みずはら・くうき
80年代好きライター。夏の扉を開け秘密の花園へ時をかける探偵物語。GINZAウェブ「松田聖子の80年代伝説」でインタビュアーも。
photo&text:Kuuki Mizuhara