05 Sep 2016
長谷部千彩のTiny Sketch 01 -「リオ・パラリンピックが待ち遠しい!」

自慢じゃないけど、私は運動神経が本当に鈍い。足は遅いし、体力はないし、幼い頃、スイミングスクールに通ってはいたけれど、いまでは10Mを泳ぎ切る自信もない。体を動かすことがからきし苦手なのである。そのため、スポーツは自分と無縁のもの、という思い込みが強く、サッカーしかり、テニスしかり、オリンピックも含め、あらゆるスポーツ観戦に無関心だった。ところが、そんな私が、いま一番楽しみにしているのが、9月8日から始まるリオ・パラリンピック。今年初めて中継を観てみようと張り切っているのである。
きっかけはイギリスのテレビ局チャンネル4が制作したリオ・パラリンピックPR動画「We’re The Superhumans」を観たこと。
両腕のないドラマー、義手のベーシスト、車いすのシンガー、盲目のピアニスト、片腕のないブラスセクション・・・。動画は、今回のキャンペーンのために結成されたビッグバンド「The Superhuman Band」の軽快なジャズにのせて、「Yes,I can」という力強いメッセージを繰り返す。
さらに義足や車いすで踊るダンサーたち、そして超人的なアスリートの姿が映し出される。そこに挟み込まれる障がいを持つ人々の日常風景。
まさにSuperhuman!人間ってこんなことまでできるんだ、と観ているこちらの胸が熱くなってしまう。そして、こんなに素晴らしい競技を観ることができるならば、これはもう是非に!とすっかりハートをつかまれてしまった。というわけで、数日後に控えた開会式を指折り数えて待っている私。夜更かし、早起きも覚悟の上。2016年、虫の音が響く私の秋は、パラリンピックとともに始まるのである。
長谷部千彩
文筆家 / webマガジン『memorandom』主宰。9月下旬に新刊エッセイ / ショートストーリー集『メモランダム』(河出書房新社)を刊行予定。hasebechisai.com