芸術の秋到来、ということで、バレエを観に行ってきた。マシュー・ボーン版「眠れる森の美女」。そう、チャイコフスキーによる三大バレエのひとつでもあり、有名なおとぎ話、魔女の呪いにかかり、100年の眠りにおちる、という、あれ。ディズニーのアニメーション映画でもお馴染みですね。
といっても、「白鳥の湖」を男性ダンサーたちに踊らせ、「くるみ割り人形」では裕福な家の娘クララを孤児院育ちに設定するなど、大胆な脚色で知られる演出家/振付師マシュー・ボーン。「眠れる森の美女」にも随所にひねりが。たとえば、ユニークな試みとして真っ先にあげたくなるのが時代設定の変更。「むかしむかしあるところに」ではなく、ぐぐっと時代を手繰り寄せ、オーロラ姫を1890年生まれに。よって、1911年の21歳の誕生日にバラの棘を指に刺して眠りに落ち、100年の眠りから覚めると、世の中は2011年になっているという・・・なんて斬新なアイディア!
当然、ダンサーの衣装も近代から現代へ(スウェットにスニーカー!)、もちろんダンスのスタイルも近代から現代へ。それだけでも十分ワクワクするのに、人間関係もより魅力的に。オーロラ姫を愛のキスで目覚めさせるのは、通りすがりの王子様ではなく、彼女の恋人、幼馴染みの狩猟番レオ。身分の違いにナイーブなレオと、そんなことはおかまいなし、天真爛漫でキュートなオーロラ姫(赤ちゃんのときからお転婆娘!)。このカップルが生み出すほほえましさと、楽しく、スピーディな展開に、観ているこちらは、物語にどんどん引き込まれてしまう。バレエなんてお上品なもの、眠くなってしまわないかしら、と思っているひとにこそ、ぜひ、おすすめしたい「眠れる森の美女」。9月25日まで渋谷シアターオーブにて!