©1966 Les Films 13
1966年の制作から今年でちょうど50年、不朽の名作『男と女』がリヴァイヴァル上映されるという。しかも、デジタル・リマスター版であの美しい映像を堪能できるというのだから、なんという幸せ。閑散とした避暑地の海辺。フランシス・レイの甘美な音楽。流れるようなカメラワーク。ヒロイン演じるアヌーク・エーメのもれ出すような色香。私もいまから大きなスクリーンで見られるのを楽しみにしています。映画ファンはもちろん、モード好きも必見なこの映画、ちなみに私が初めて観たのは、中学生の時。当然ながら、アヌーク・エーメの佇まいには衝撃を受けました。アンニュイな表情の合間に見せるはにかんだ笑顔。これぞまさに大人の女性、と惚れ惚れしたのを思い出します。加えて魅かれたのが、リアリティのある劇中のファッション。黒いハイネックのセーターにムートンのコート、チェーンストラップの黒いショルダーバッグにブーツに手袋という、すぐにでも真似できそうなコーディネイト。ベーシックなアイテムをさらりと着こなすその姿は、逆に彼女の個性を際立たせていました。そしてもうひとつ、印象的だったのが、コーラルのリップ。意志的な目元を演出するつけまつ毛と強いアイライン、けれどリップのカラーはおさえ目に。そのバランスが、大人の女の慎み深さを表していたように思います。若々しい赤がリップの定番になったいまだからこそ、やわらかな色合いが新鮮に映る今年の秋。未見の方も再見の方もこの機会にぜひどうぞ。珠玉のラヴストーリー『男と女』、東京は10月15日からの公開です。