『プラネタリウム』(16)
アメリカで一大スピリチュアルブームを引き起こした霊媒師・フォックス姉妹と、フランスの伝説の映画プロデューサー、ベルナール・ナタンという実在の人物をモデルに、現在37歳の女性監督レベッカ・ズロトヴスキが映画化。ナタリー・ポートマンとリリー=ローズ・デップが演じるのは、30年代のパリに降霊術ツアーとしてやってきたバーロウ姉妹。不穏なまでに美しい2人と、彼女たちの能力に惚れ込み、映画を企画するプロデューサーのアンドレとの危うい日々を綴る。現実と非現実の間をすくうという意味では、役者と霊媒師も、映画とスピリチュアリズムもよく似ているのかも。9/23より新宿バルト9ほか全国公開。
映画『プラネタリウム』公式サイト
©Les Films Velvet – Les Films du Fleuve – France 3 Cinema – Kinology – Proximus – RTBF
『オン・ザ・ミルキー・ロード』(16)
『アンダーグラウンド』(95)のエミール・クストリッツァ監督の9年ぶりの新作は、自身で主演まで務めるクストリッツァ節全開の作品。隣国と戦争中という悲劇を目の前にしても、ウンザウンザと踊りながら生きる人々ののん気なユーモアは健在。動物に囲まれ生活し、前線を渡って戦線の兵士にミルクを届ける心優しいコスタを演じるクストリッツァ62歳も愛らしい。彼が恋に落ちる謎の美女には“イタリアの宝石”ことモニカ・ベルッチが扮しているので、俺得でしょ感は否めないが、動物やら弾丸やらが入り乱れる中での愛の冒険の顛末は、すごく悲しいはずなのに、やっぱり笑えてくる。9/15よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開。
映画『オン・ザ・ミルキー・ロード』公式サイト
©2016 LOVE AND WAR LLC
『パーフェクト・レボリューション』(17)
障がい者だって恋もセックスもしたい。重度の身体障がいを抱え、障がい者の性への理解を訴える活動をする・熊篠慶彦が松本准平監督に「障がい者の映画をつくれませんか?」と相談したことをきっかけに、熊篠氏の実体験をもとにしたポップな恋愛映画が誕生。車椅子生活をする活動家のクマには熊篠氏の友人でもあるリリー・フランキーが、彼に強く惹かれる風俗嬢のミツを清野菜名(すごくかわいい)が演じるのだが、不自由さを抱えているのはどちらも同じだ。一見健常に思えるミツも壊れている。そう、みんな完璧ではない身体で、愛を投げつけたり、拾いそびれたり、交換したりしながらなんとか生きている。9/29より全国公開。
映画『パーフェクト・レボリューション』公式サイト
©2017「パーフェクト・レボリューション」製作委員会