『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』
ナイキの創業者フィル・ナイトの息子として知られるアニメーター、トラヴィス・ナイトの長編監督デビュー作。舞台はナイト監督が愛してやまない日本だ。主人公は、魔法の三味線で折り紙を操る片目の少年。一族から命を狙われているKUBO少年の冒険を描く。日本を描いた外国のアニメというと各方面からツッコミが入りそうなものだが、全編通じて日本愛・アニメ愛しか感じない。エンドロールも、ここまでかというほど日系の名前が出てくる。しかも、このCG時代にほとんどコマ撮りで作られているというのが泣ける。シャーリーズ・セロンやマシュー・マコノヒー、ルーニー・マーラなど豪華俳優陣の声優もまたいい。11月18日より全国公開。
映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』公式サイト
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『ノクターナル・アニマルズ』
トム・フォードの監督第2作。アートギャラリーのオーナー、スーザン(エイミー・アダムス)のもとに、20年前に離婚した元夫(ジェイク・ギレンホール)が書いた小説『夜の獣たち』が送られてくるところから物語は始まる。トム・フォードはオースティン・ライトの小説『ミステリ原稿』を原案に、テキサスに生まれた自身の過去と、消費と廃棄の文化で生きる現在を設定に据えるなど、自分のキャラを主人公2人に重ねオリジナルのものにしている。細部に至るまで完璧な世界観で、自分の選択がもたらす結果と取り返しのつかなさについて華麗に警告する、素晴らしいミステリ映画だ。公開中。
映画『ノクターナル・アニマルズ』公式サイト
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『南瓜とマヨネーズ』
魚喃キリコ原作の人気同名漫画を『ローリング』の冨永昌敬監督が映画化。ミュージシャン志望の恋人せいいち(太賀)との生活を支えるためにせっせと働くツチダ(臼田あさ美)は、忘れられない昔の恋人ハギオ(オダギリジョー)と再会し、彼との関係にのめり込んでいく。ツチダとせいいちが同棲する部屋の生活感に嘘がなく、その生々しさに今も下北沢らへんに彼らが住んでいるんじゃないかという気さえする。本作は原作のキャラを丁寧に生き生きと浮き上がらせながらも、漫画では描かれなかった男性側の物語にもなっていて、そのありふれた生活を私も愛おしく思った。11月11日より新宿武蔵野館ほか公開。
映画『南瓜とマヨネーズ』公式サイト
©魚喃キリコ/祥伝社・2017 『南瓜とマヨネーズ』製作委員会