マノロ・ブラニクといえば、今やドラマ、映画、小説の中に固有名詞として登場するほど有名なブランドだが、デザイナーであるマノロ・ブラニク本人の素顔はあまり知られていない。カナリア諸島のバナナ農園で、菓子の包み紙でトカゲに靴を作って遊んでいた少年は、誰もが魅了されるファッショニスタへと成長。26歳でダイアナ・ヴリーランドから、「靴のデザインに専念したら」と言われ、初めて靴デザイナーの道を歩む。本編では、アナ・ウィンターらセレブリティが彼への賛辞を語るが、それを抜きにしても、マノロ・ブラニクという人と靴が女性たちを虜にしてきたその理由がありありと伝わるドキュメンタリーとなっている。12月23日より、新宿ピカデリーほか公開。
私たちがまだ知り得ぬ人の中にも、ナチスのホロコーストを、見て見ぬふりができなかった人々はいた。第2次世界大戦以前には、ポーランドの人口の10%はユダヤ人であり、彼らは友人であった。ワルシャワで動物園を営むアントニーナとヤンの夫婦は、自邸の地下にユダヤ人をかくまうことを思いつく。ドイツ軍占領下で閉園を余儀なくされた動物園を舞台に、バレたら家族全員の命も危ぶまれる緊張状態の中で、2人は強制居住区域に暮らすユダヤ人300人もの命を救い出す。しかもかなり大胆な方法で。「命を奪われることは、誰にとっても許されるべきではない」。そう信じて動いた家族の実話である。12月15日より、TOHOシネマズみゆき座ほか全国公開。
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キンシャサという言葉を聞くと、アフリカ音楽にあふれ、粋な男たちサプールが闊歩するという明るい面を思い浮かべてしまうが、略奪、強姦事件が相次ぐ現実は変わっていない。バーで歌いながら息子を育てるシングル・マザーのフェリシテは、息子がバイク事故に遭ったことで、手術代が必要になり、駆けずり回って、金の無心をする。でも、余裕がある人なんて1人もいないのだ。実の母さえも。歌うこともできなくなった絶望の淵でもあがき泳ぐフェリシテのたくましさは神々しいものがある。カサイ・オールスターズ、アルヴォ・ペルトの音楽、そしてヴェロ・ツァンダ・ベヤの歌声がキンシャサの夜へと飛ばしてくれる。アラン・ゴミス監督作。12月16日より全国順次公開。
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