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奥山大史:ジャンルにとらわれず、何度も観返してもらえる作品を制作|GINZA CREATER’S FILE vol.3

奥山大史:ジャンルにとらわれず、何度も観返してもらえる作品を制作|GINZA CREATER’S FILE vol.3

映像の分野で活躍する気鋭のクリエイターをマンスリーで紹介する連載「GINZA CREATER’S FILE」。第3回目は広告会社に勤務しつつ、プライベートで映画監督として活動している、奥山大史さんをピックアップ。映像に出合ったきっかけ、これまでの作品に込められた想いを聞きました。


奥山大史
映画監督

奥山大史 映画監督

ジャンルにとらわれず、
何度も観返してもらえる作品を

22歳、学生時代の奥山大史さんが初めて監督した長編は、自身の幼少期の体験を基にした『僕はイエス様が嫌い』だ。本作でかつてポン・ジュノも受賞したサン・セバスティアン国際映画祭の最優秀新人監督賞を受賞。その後、世界4カ国、国内の50劇場で公開され注目を浴びた。現在、広告会社に勤務する彼はCMのプランニング、ドキュメンタリーやMVの撮影・監督をしつつ、プライベートで映画監督として活動している。

そんな奥山さんが映画監督になりたいと最初に意識したのは、2本立ての名画座「新文芸坐」に通っていた頃のこと。

「18歳になってから、よく新文芸坐のオールナイトの特集上映に通っていて。王道のスタンリー・キューブリック、エリック・ロメール、若手のグザヴィエ・ドランまでいろんな作家ごとの作品を一気に観たんです。名画座の特集上映は映画館で作品を観るのと違って、監督が主人公なんですよね。筋が一本通っている監督しか特集されない。中でも、6時間の上映で1秒も理解できなかった、ヤン・シュヴァンクマイエル監督の、受け手がいかようにも解釈できる世界観がめちゃくちゃ格好よくて。それで、『うわー、つくりたい!』と思ったんです」

同時に、当時流行っていた新作映画に対して、「別の方法もあるんじゃないか?」という疑問が生まれたという。 「130年続いている映画史をないがしろにするつくり方だと、すぐ消費されてしまう。長年観返してもらえる作品にするために、自分がいいと思う過去の手法やリズムを参考にして、オリジナルの経験を普遍的に描くことを意識しました」

そして、本人曰く、「シュヴァンクマイエルの影響をもろに受けて撮った作品」というのが、女優大竹しのぶさんが出演したコマ撮りの短編アニメーション『Tokyo 2001/10/21 22:32〜22:41』だ。

「大竹さんの芝居という現実を全部写真で撮って、あえて1回バラバラにして、夢=アニメーションとして再構成したんです。となると、大竹さんがいつ瞬きをしたのか、どこで右を向いたのか、角度も含めてくまなく見ていないとつながらないんですよね。この経験は、その後、演出する上ですごく役に立ってます」

そもそも、幼い頃から映画が好きで、物づくりがしたかったという奥山さん。高校2年生のとき、好きだった「大人計画」の扉を叩いたものの、18歳以下だったため不採用に。ならばと、観劇していた劇団「トラッシュマスターズ」で演出の手伝いを始めた。大学進学後は、ダブルスクールで映画美学校に通った。

「当時、テレビ番組『岩井俊二のMOVIEラボ』(NHK教育)に聴講生の1人として出演することになり、1分の作品を3本つくって講評されたんです。必然的に、自分で脚本、撮影、編集をして、それがすごく楽しくて。そのとき、岩井さんとゲスト講師の堤幸彦さん、是枝裕和さんが、結構褒めてくれて。それを真に受けて、映画美学校に通い始めました」

是枝監督が特別講師として映画美学校を訪れた際も、積極的に質問をした。

「是枝さんの映画がとにかく好きだったので、早稲田大学で授業していると聞いて、『行っていいですか?』と。やや引いてらっしゃいましたけど(笑)。それで実際に行ったんですよ。大学生の頃は、今よりも前のめりというか、好きな作家がいたら近づこうとしてました。箭内道彦さんのゼミに入ってラジオのお手伝いをしたり。あまり深く考えてはいなくて、映画やCMが好きだけど仕事になるかはわからない。だからこそ学生のうちにいろいろやっておこうと」

その姿勢は今も変わらず、映画だけでなく、CM、MV、配信、それぞれの特性に合わせて、何ができるかの最大公約数を常に模索していきたいという奥山さん。最新作も来年中には動き出す予定だとか。どんな作品になるんでしょうか?

「次も子どもが主人公の作品になりそうです。理由は、単純にこれから生きていく中で、子ども時代ほど楽しかった時期はない気がしているから。悲観しているわけじゃなく、忘れているだけで、多くの人がそうだったんじゃないかなと。ただノスタルジーに浸るだけでは駄目ですけど、子どもの頃に考えていたことや初めての感覚を思い出すことで、今の生活が生き生きして見えたり、子どもへの接し方も変わってくるかもしれない。子どもの頃の目線を思い出させる映画をつくりたい、というのは根底にありますね」

 

奥山さんの映画とミュージックビデオ

奥山大史 おくやま・ひろし

1996年東京都生まれ。映画美学校、青山学院大学総合文化政策学部卒業。初監督した長編映画『僕はイエス様が嫌い』で、第66回サン・セバスティアン国際映画祭の最優秀新人監督賞を史上最年少で受賞。

HP: https://hiroshiokuyama.com/
Twitter: @hiroshi_0227

Photo: Takao Iwasawa Text: Tomoko Ogawa

GINZA2020年8月号掲載

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