何かを極めた人たちにはきっとスペシャルな経験や方法論、 意識の持ち方がある。そんな仕事の“礎”は迷える子羊、 働くギンザガールのポラリスとなり照らしてくれるはず。 いぶし銀に光るサムライ6人に聞いた、彼らが特別である理由。
6人のサムライのお仕事道-01 コロッケさんが特別である理由。「枠の中で満足しなかったらスタイルが生まれた」
「枠の中で満足しなかったから スタイルが生まれた」
ものまねタレント/俳優
コロッケ さん
あのビートたけしをして「ピカソみたいな域まで来た」と言わしめたものまね界の孤高の芸術家、コロッケさん。
有名人たちの特徴をデフォルメして笑いに転換する鮮やかなパフォーマンスは、〝型を崩す〟ことからすべてが始まった。
「ものまねはソックリな動きや声を出す〝形態模写〟や〝声帯模写〟がメイン。でも〝ものまね四天王〟と言われた時代に、ある意味失礼な(笑)、オーバーな手法をみんなで編み出して、それが市民権を得ることになったんです。そこで〝型〟が少し広がった」。ただ、それだけに甘んじなかったのがコロッケさんだ。ご存知の通り、技は刻々とヴァージョンアップを続け「ロボット五木ひろし」など、もはや原型を留めないまでに進化。コロッケさんの〝ものまね〟は、完成系を見ない一大エンターテインメントという新しいスタイルを生んだ。「ひとつの枠組みに満足しないタイプだったんでしょうね。基本をどう遊ぶか、あるいはぶち壊していくか。それが正しいかは後から世間が評価すること」
オリジナルの発想は、類まれな観察眼と、愛がモチベーションの研究心から生まれている。「コブクロの黒田俊介さんは『蕾』でかがんだり手を振ったりするから、僕には『虫を2匹見つけて喜んでる!』風に見えてしまうんです。音程を手で取る平井堅さんはいつも身長を測っている人。でもその手が目線だから『あ、いつまでも自分の高さがわかんないんだな』と(笑)」。細部を探るのではなく、むしろ〝通りすがり〟の感覚。
「後に残った印象を形にする〝残像ものまね〟なんです。みんなが潜在意識下で感じているところに僕がおじゃまする。それがカチっとはまると笑いが起きる」
真似する全員が「憧れの人」。好きだから事実以上を妄想する。「失礼をわかった上でやっているので〝永遠の逃亡者〟です(笑)」とコロッケさん。でも本当は、挨拶なども欠かさず礼を尽くす人というのも有名な話。
「〝相手が一番、自分が二番〟というのが僕の座右の銘。何かを作り出してもそれが自己中心的なら、支持されずただの押し付けで終わると思うんです。まずはおうかがいの気持ちを持って相手本位になってみる。その姿勢があればきっと〝型破り〟も受け入れてもらえる。あとはね、『この野郎!』と思われたら100m先に逃げる準備(笑)」。これぞ賢者の〝テッパン〟アドバイス。
-1980-
高校生にして「実力を試したく」年齢をごまかしつつ地元のスナックでものまね営業。プロを目指して上京後、80年に『お笑いスター誕生!!』でデビュー
-1985-
“ものまね四天王”として人気を博し、以降TV・ラジオ、全国でのコンサートや座長公演と大活躍。そのレパートリーは現在300種以上!
-2016-
文化庁長官表彰など受賞歴は数々。昨年はビートたけしのエンターテインメント賞、日本芸能大賞に選ばれた
【サムライメモ】
実はファッショニスタなコロッケさん。取材後半は(前半以上に!?)熱の入ったおしゃれトーク。スタッズ職人ばりにカスタム術を練磨中とか。