04 Feb 2023
昭和のシネマポスターに魅せられて

日本映画ポスター愛好家・福田フクスケさんが語る当時の銀幕のスター。
今こそ憧れるクールなアイコン、梶芽衣子
あの時代の映画ポスターは、コントラストがバキバキに強く、写実的に誇張されていた画風が特徴ですよね。千鳥のノブふうに言えば、ほとんどの作品タイトルが〝赤のふと〟。フランスの恋愛ものをポスターにしても、任侠映画と同じトーンに染め上げてしまう主張の強さが、デザインにあったと思います。
そんな中で『女囚さそり』シリーズの江戸川乱歩のような退廃美は、今でも十分通用するほどスタイリッシュ。全身黒に身を包んだ主演の梶芽衣子は、いわばクールビューティの先駆け。〝思わずひざまずきたくなる系〟の、今を生きる我々もかっこいいと思う女性像を世界に向けて刷り込んだとも言えます。
『ジーンズブルース 明日なき無頼派』で社会への怒りを原動力にレジスタンスを起こす姿は現代にこそ響きそう。ご本人も芯があり、人生のモットーは〝媚びない・めげない・くじけない〟。『北斗の拳』のサウザーとほぼ同じことを言ってます。自身の正義を貫く強さやミステリアスな雰囲気は孤高の存在です。
福田フクスケ ふくだ・ふくすけ
ライター、編集者。担当書籍に斉藤章佳著『盗撮をやめられない男たち』(扶桑社)など。
古書専門店 ヴィンテージ
映画好きにはたまらない沼にハマる店が神保町に。洋画や邦画のパンフレットやポスター、チラシから、サブカルチャー全般の雑誌が、床から天井までを埋め尽くす。その数、なんと2万点以上! 昭和を飾った俳優陣たちのポスター博覧会も定期的に開催している。

古書専門店 ヴィンテージ
住所: 東京都千代田区神田神保町2-5 神保町センタービル 1・2F
Tel: 03-3261-3577
営業時間: 11:00(日祝12:00)〜19:00
定休日: 無休
Text: Nico Araki
GINZA2022年12月号掲載