代官山 蔦屋書店で開催中の「代官山 BOOK DESIGN展」。”本のプロ”が印刷・レイアウト・装丁・造本の視点で選んだグッドデザインな書籍が集まります。
代官山 蔦屋書店で開催中の「代官山 BOOK DESIGN展」へ
代官山 蔦屋書店のコンシェルジュである三條陽平(建築・デザイン)と清水はるみ(アート・フォト)がブックデザインに秀でた30冊をセレクトしている
ここに選ばれた本は、すべて昨年(2015年)発刊されたもの。小さい本、大きい本、日本語の本、外国語の本、写真ばかりの本、文字だらけの本などが違和感なく並んでいます。日々の書店員さん同士の、この装丁スゴイよね、今月どの本がアツかった?といった会話を元にピックアップしているそうです。
「代官山 BOOK DESIGN展」は2014年からスタートし、今年で3回目の開催。「良い本が入荷しても、僕たちにできることは目立つ場所に陳列するくらい。きちんと紹介でできないことに葛藤があった。フィジカルな紙の書籍だけが持つ魅力を広く伝えたい」と話すのは、第1回目の開催からブックセレクトを担当する三條さん。その試みのひとつとして、毎年、ガイドブックも作成しています。
選書された30冊の解説付き。旬なデザイナーや出版社をおさえる資料として1冊手元においておきたい。1,000円(税抜き)で販売中
デザインは気鋭のグラフィックデザイナー・イトウナツミさんが担当。弊誌のスナップ企画などでもよく登場していただいているおしゃれさん。Instagramも是非、チェックを。
カタログの写真は、三條さんと共に今イベントで選書を担当した代官山 蔦屋書店のコンシェルジュ清水さんが撮影。清水さんの写真作品は発売中の雑誌「IMA」Vol.16 の表紙にもなっていて、写真家としても活躍するスーパー書店員さんなのでした。
三條さんに話を伺いながら、気になった本が2つ
1つは雑誌『POPEYE』のイラストや書籍の装丁など多方面で活躍するイラストレーター・長場 雄さんの作品集「I DRAW」。
Instagramにて発表してきたドローウィングを収録。ページ1枚1枚がアート作品のようになっている。赤いACE HOTELのスタンプが絶妙なアクセント。「本にモノ感を与える前田晃伸さんのデザインが素晴らしい」と三條さん。
もう1つは、トーマス・ソーヴィンの作品「Until Death Do Us Part」。
中国の結婚式では新郎新婦が招待客一人一人にタバコを渡し、マッチで火を付け感謝の気持ちを表す慣習がある。その写真群を煙草を模したデザインで1冊にまとめた。写真集をおさめる箱には、実際に販売されている煙草の空き箱をケースに使っており、ほのかに煙草の香りがする。
書店には1カートンのパッケージで納品。こちらも実際の銘柄のパッケージを再利用。視点も創本のアイディアもユニークです。
職業柄、普段から本屋に足を運ぶことが多いのですが、今展のブックセレクトのなかに知っている本は1冊もありませんでした・・・恥ずかしながら!でも、創作の魅力に溢れるブックデザインを眺めながら、何度も心のなかで「誰が作ったかわからないけど、うーん、これは買わざるをえないなぁ」と呟いていた私。日々モノを選ぶ基準として、あの人がデザインしているから、限定モノだからというのも楽しいですが、本をみてビビッときたところから作り手を索引することが新鮮で楽しかったです。そんな出会いから手にした1冊は、じわじわ生活に溶け込んできて、さりげなく暮らしを豊かにしていくれるかもしれません。
「代官山 BOOK DESIGN展」
場所:蔦屋書店2号館 1階 ギャラリースペース
会期:6月18日(土) - 07月08日(金)
営業時間: 7:00~深夜2:00