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ようこそダークなせかいへ。デイヴィッド・シュリグリーの展覧会が水戸芸術館で開催中

ようこそダークなせかいへ。デイヴィッド・シュリグリーの展覧会が水戸芸術館で開催中

デイヴィッド・シュリグリーというアーティストを知ってる? いかにもなブラックユーモアたっぷりのドローイングは、ユニクロをはじめ、ファッションブランドのTシャツにも起用されている。

0_David Shrigley Artist (Animation)

デイヴィッド・シュリグリー『アーティスト』2012 アニメーション 2分24秒 Courtesy: Artist and Stephen Friedman Gallery, London

シュリグリーは、イングランド北部出身のイギリス人現代美術家。笑っていいのかいけないのか迷うギリギリのラインを攻めてくる感じは、イギリスらしいと言える。モンティパイソン、ミスタービーンとか、どうやらイギリスにはここまでならオッケーみたいな、暗黙の了解があるのかしら?

8_Headless Drummer

デイヴィッド・シュリグリー「頭のないドラム奏者」2012(アニメーションからの静止画) Courtesy: Artist and Stephen Friedman Gallery, London

そういうちょっとしたセンスの微差は、たぶん作品を観るのが一番早い。

こちらは剥製の彫刻作品。ダチョウ、だけど頭がない。ただそれだけ。ただし、これは本物のダチョウのはく製なので、頭がないと残酷に見える。けれど、はく製にされてしまった動物にとっては頭があるのも無いのも同じこと(かもしれない)。

1_Ostrichデイヴィッド・シュリグリー『ダチョウ』2009 Courtesy: Artist and the British Council Collection 撮影:Stephen White

ほかにも、展示されてはいないけどカワイイ犬のはく製が「I’m dead(私は死んでいる)」と書かれたプラカードを持ってるシリーズもある。まあ、悪趣味ですね。この動物のはく製シリーズはいくつもあるらしいけど、シュリグリー自身が犬を飼うようになってからやめたとのこと。

ドローイングの方はどうだろう。壁いっぱいに並んだイラストの数々を見てみると、ヘタウマ、いや下手なへっぽこキャラクターや人、動物に、「そのまんまじゃん」という言葉がついている。例えば、この猫のイラストには「I ATE RAT. IT TASTED GOOD(ねずみを食べました。おいしかったです)」とだけ書いてある。要するに、「……。」という感想しか浮かばない。けど、なんか気になる、なんかカワイイ。今回の展示では、膨大な量が展示されているそう。ぜひ会場でお気に入りを見つけてみて。

5_Installation view『デイヴィッド・シュリグリー:ルーズ・ユア・マインド』の展示風景、2015、カバーニャス文化学院(メキシコ、グアダラハラ) 撮影:Marcos García

今回の見ものが、現在、ロンドンのトラファルガー広場に展示されて大きな話題を呼んでいる、デカすぎるし親指が長すぎる「いいね!(英語だとGood!)」の形をした彫刻「リアリー・グッド」のバルーン版。

_MG_0022_R「リアリー・グッド」2017年 デイヴィッド・シュリグリー「ルーズ・ユア・マインド―ようこそダークなせかいへ」2017年水戸芸術館現代美術ギャラリーでの展示風景  撮影:木奥惠三 写真提供:水戸芸術館現代美術センター

デカいから、タイトルも単なる「いいね!」じゃなくて、「すっごくいいね!」。大きいものを前にして、「デカい!すごい!ワ~!」みたいな身も蓋もない感想とともに立ち尽くすのも、なんとなくいいものです。

こういうブラックユーモアは、日本だとナンセンス、とか、シュールな笑いみたいに言われることが多いのかも。笑いはその地域のカルチャーや言葉が強く影響するけれど、シュリグリーの作品はなんでこんな笑えるのだろう? 重箱の隅をつつくような、ニッチな視点をもちつつ、その笑いは意外にも世界に通用するオーディナリーなものなのかもしれない。

ともあれ。とりあえず美術館であなたも「いいね!」してみてください。

 

デイヴィッド・シュリグリー『ルーズ・ユア・マインド―ようこそダークなせかいへ』

会期:2017年10月14日(土)~2018年1月21日(日)

会場:茨城県 水戸芸術館 現代美術ギャラリー

時間:9:30~18:00(入場は17:30まで)

休館日:月曜(ただし1月8日は開館)、12月27日~1月3日、9日

料金:一般800円

※中学生以下、65歳以上・障害者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名は無料

WEB: arttowermito.or.jp/gallery/gallery02.html?id=470

 

新宿のユミコチバアソシエイツでは、12月22日まで新作ドローイング展が開催中!

『NEW DRAWINGS – DAVID SHRIGLEY』

会期:2017年11月2日(木)- 12月22日(金)*定休日:日、月、祝日

会場:Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku(東京)

WEB: ycassociates.co.jp/jp/information/davidshrigley/

 

柴原聡子

建築設計事務所や美術館勤務を経て、フリーランスの編集・企画・執筆・広報として活動。建築やアートにかかわる記事の執筆、印刷物やウェブサイトを制作するほか、展覧会やイベントの企画・広報も行う。企画した展覧会に「ファンタスマ――ケイト・ロードの標本室」、「スタジオ・ムンバイ 夏の家」など

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