SEARCH GINZA ID

ディーゼルが注目するクリエイター「エラ・スナイダー」 人生のストーリーを描く若きアクティビスト

ディーゼルが注目するクリエイター「エラ・スナイダー」 人生のストーリーを描く若きアクティビスト

モード界をリードするブランドが、いま注目するクリエイターとは?コレクションを発表する場や文化のサポート事業を通じてタッグを組む、覚えておきたい最先端の才能を紹介する。


DIESEL
recommends
Ella Snyder
モデル、アーティスト

ファッションと表現者たち Ella Snyder 

人生のストーリーを描く
若きアクティビスト

燃えるような赤い髪をなびかせ夢うつつを駆け抜ける。ミラノからショートフィルム形式のライヴストリーミングで配信されたディーゼルの春夏コレクションは、クリエイティブ・ディレクターに就任したグレン・マーティンスのデビューとともに、ミューズとして登場したエラ・スナイダーの鮮烈な姿が大きな話題となった。

「フィルムが公開された日は、いくつかのモデルエージェンーと打ち合わせがあってミラノ中を飛び回っていたんです。ようやくひと息ついてから携帯で映像を観て、あまりのうれしさに道の真ん中で号泣してしまいました。家族や友人みんなから連絡が来ていて、ニューヨークの友だちもタイムズスクエアのビルボードに映った私の写真を送ってくれて。自分でも現実とは信じられなかったくらい」

そう振り返るエラはアーティストとしての活動も注目されている。2019年自身のライフドキュメンタリーであるVlogでトランスジェンダーだとカミングアウトして、アートワークでもトランスおよびノンバイナリーのコミュニティを代弁することを重要視している。写真を学んでいたパーソンズ美術大学はモデル業に専念するため退学。2020年クリエイターをサポートする「Dazed100」に選出され、現在は初の写真集を制作中だ。

エラの抜擢を「美しさはもちろん、ブランドの価値観をポジティブに表現してくれる人だから」とマーティンス。「自分自身に忠実であり、自己愛と受容が人生においてもっとも重要だとするディーゼルの“For Successful Living”という哲学を体現している」と絶賛する。

ファッションと表現者たち Ella Snyder デザイナーのグレン・マーティンス
Photo: Oliver Hadlee Pearch

デザイナーのグレン・マーティンス。曰く、「エラの美しい魂、情熱、ポジティブさが新生ディーゼルを伝えてくれると期待しています」。

もともと、マーティンスがデザインする〈Y/プロジェクト〉のファンだったというエラ。「マーティンスはブランドの顔として温かく迎え入れてくれて、若い世代に向けてよりセクシーなディーゼルを発信していくとヴィジョンを説明してくれました。愛情深く天才的なデザイナー、限りなく尊敬しています」と、初めて会ったときの印象を語る。

フランク・ルボン監督を迎え映画『ラン・ローラ・ラン』(98)にインスパイアされ制作した春夏の映像は、モデルだけでなく“演じる”ことを求められた初の体験だったという。 「すべてのルックを着たモデルたちの間を走り抜けなくてはならなくて、10回はテイクを重ねました。あのシーンとエレベーターでの撮影は忘れられないですね」

そういうエラが写真に興味を持ったのは12、3歳頃のこと。モデルに憧れていたが「叶わないだろう」と思い込み、ファッションフォトグラファーを目指すようになった。好きな写真家はユルゲン・テラーやライアン・マッギンレー、ナン・ゴールディンなど。制作中のフォトブックは「トランス/ノンバイナリーコミュニティをより新しい視点でセレブレイトした記録写真です。世界の人々が自分のコミュニティから影響を広げていく姿を伝えられればと願っています」とエラ。モデルの仕事が誰かの構想に命を吹き込むものとするなら「私にとってのアートは自己表現の場。自分でクリエイティブなコントロールが可能なので、より多くを語ることができる」と、それぞれに刺激を受けながら向き合っている。

「アーティストとして発信する手法は模索し続けています。執筆や写真、映像制作であろうと、いつも物語を伝えたいと考えているんです。自分自身でも、私が愛する人たちの話でもいい。それを形にすることが私の最大の関心です」

ほかにも20代のユースを主人公にした脚本を執筆中で、発表されたばかりのディーゼルの秋冬ショーでもスポットライトを浴びたエラ。22歳の夢は始まったばかりだ。

Profile

Ella Snyder エラ・スナイダー

1999年生まれ、ボストン出身。YouTubeチャンネル「Ella Snyder」は11.7万人がチャンネル登録、支持を集めている。

Instagram→ @ellasnyder

Text&Edit: Aiko Ishii

GINZA2022年4月号掲載

#Share it!

#Share it!

FOLLOW US

GINZA公式アカウント

関連記事

PICK UP

MAGAZINE

2023年4月号
2023年3月10日発売

GINZA2023年4月号

No.310 / 2023年3月10日発売 / 特別定価880円

This Issue:
流行と人気

2023年春のムードは
どんなもの?

...続きを読む

BUY NOW

今すぐネットで購入

MAGAZINE HOUSE amazon

1年間定期購読
(17% OFF)