会場風景 主催者提供
今回SIDE COREのメンバーは、渋谷を俯瞰するここからの眺めから、チャールズ・イームズ&レイ・イームズが70年代に発表した作品「Powers of Ten」を連想したそう。これは、芝生の上で寝ている一人の人間を見下ろす風景から始まり、成層圏→地球→太陽系→銀河ととてつもない距離を取っていくマクロな視点と、逆に人間の体の中に入り込んでいき細胞レベルまで寄っていくミクロな視点をつなげた画期的な作品だ。SIDE COREは、この空間的なスケールに加えて、過去や現在という「時間の流れ」にフォーカスしている。
「こうやって上から見ると、過去の記憶がよみがえってくるんですよ。むしろ、変わってないところを積極的に探してしまう。あそこで作品を作ったなとか、グラフィティを探してたこととか。この風景が自分の脳の中に近いというか……、ある種の記憶装置のように見えるんです」(SIDE COREメンバー高須咲恵さん)
会場から見える風景 筆者撮影
スケボーやグラフィティといったストリートカルチャーに近いところで活動してきたSIDE COREは、渋谷でもたくさん作品を作ってきた。もちろん、この街は多くのストリートアートの舞台となってきた場所でもある。ただ、ここ最近開発が進む駅周辺を歩いていると、あまりの激変ぶりに少し前の風景さえ思い出せないことがある。なのに、高いところから俯瞰すると過去が見えてくるという矛盾が面白い。