ice forms VII
2008
Production still from New Ocean: thaw (2001)
Courtesy of the artist
© Doug Aitken
〈ルイ・ヴィトン〉が運営するアートスポット「エスパス ルイ・ヴィトン東京」。ここで2021年2月7日(日)まで、アメリカ人アーティストのダグ・エイケンの展覧会が開催中だ。
ice forms VII
2008
Production still from New Ocean: thaw (2001)
Courtesy of the artist
© Doug Aitken
〈ルイ・ヴィトン〉が運営するアートスポット「エスパス ルイ・ヴィトン東京」。ここで2021年2月7日(日)まで、アメリカ人アーティストのダグ・エイケンの展覧会が開催中だ。
ダグ・エイケンは、雑誌のイラストレーションからそのキャリアを始め、1990年代中頃から、立体的な構造のマルチスクリーンに映像をシンクロさせて投影するビデオ・インスタレーションを発表している。現代美術界で脚光を浴びながらも、イギー・ポップやファットボーイ・スリムらのMVを手がけるなど、多彩な活動を見せてきた。そんな彼が作り上げる没入型インスタレーション『New Ocean: thaw』を紹介する展覧会が、この度「エスパス ルイ・ヴィトン東京」で開催されている。
エイケンの作品で特徴的なのは、そこかしこに置かれるスクリーンだろう。この映像編集と空間の活用の中で、アーティストの目は、知覚概念という根本的な対象に向けられている。『New Ocean: thaw』で繰り広げられるのは、アラスカの風景。空と溶けゆく氷河のイメージがまるで万華鏡のように複数のスクリーンに映し出され、その様は19世紀のパノラマ絵画をも彷彿させる。氷という固定されたイメージと、水という動くイメージ。二つの特性を兼ね備えるこの作品は、写真と映画の間にあるとも言える。インスタレーションではさらに、電子音とミキシングされた氷河の音が、「見えない風景」を描き出す。
エイケンによって生み出された空間は、「目で見る」だけでなく、身体全体で知覚することを求めてくる。その時、私たちが感じ取るのは自然だろうか、人為だろうか。
芸術機関フォンダシオン ルイ・ヴィトンによる本展覧会は、入場無料。仕事帰りや買い物帰りの表参道で、気軽に立ち寄ってアートを体験してみたい。
また、本展覧会は、フォンダシオン ルイ・ヴィトン所蔵の未公開作品を世界各地の「エスパス ルイ・ヴィトン」で展示する企画「Hors-les-murs(壁を超えて)」の一環である。