音楽家・やくしまるえつこが欧州の科学芸術賞「STARTS PRIZE」グランプリを受賞!

音楽家・やくしまるえつこが欧州の科学芸術賞「STARTS PRIZE」グランプリを受賞!

MAIN_ImHumanity_

GINZAでも「やくしまるえつこ郵便局」を連載してもらっていたおなじみのアーティスト、やくしまるえつこさんの作品『わたしは人類』(https://starts-prize.aec.at/en/im-humanity/)が、オーストリアで開催されるメディアアートの祭典「Ars Electronica」(アルス・エレクトロニカ)のアワード「STARTS PRIZE(スターツ・プライズ)」でグランプリを受賞しました!

 

ImHumanity_YXMR3_

同アワードは欧州委員会とアルス・エレクトロニカが昨年よりスタートした、イノベイティブなテクノロジーを使ったアート作品やプロジェクトを表彰する賞です。昨年は、テレビ番組でも活躍するメディアアーティストの落合陽一さんの作品「Fairy Lights in Femtosecnds」(https://starts-prize.aec.at/en/fairylightsinfemtoseconds/)が奨励賞を受賞しています。

 

音楽/美術問わず活躍するスーパーアーティスト

YakushimaruEtsuko_asha

やくしまるさんは、バンド「相対性理論」での活動をはじめ、音楽・美術・ファッション・文筆など、ジャンル問わず活躍するスーパーアーティスト。音楽家、プロデューサー、作詞・作曲・編曲家として「相対性理論」やソロ名義での活動など数多くのプロジェクトを手がけ、美少女戦士セーラームーンの主題歌なども担当する一方、Yakushimaru Experiment名義では実験的なコンセプトアルバムを発表。昨年にはレコード会社にもプロダクションにも所属しないアーティストとして史上初の日本武道館公演、相対性理論 presents「八角形」を開催しました。その独自の世界観を求める共演者も多く、坂本龍一、ジェフ・ミルズ、my bloody valentineなど、日本国内外問わず引っ張りだこ。

 

IH_LiveAtYCAM3 IH_LiveAtYCAM4

また自分でパフォーマンスするだけでなく、プロデュースワークや楽曲提供も多数で、SMAPやももいろクローバーZ、山下智久さんや、最近ではMONDO GROSSOと乃木坂46の齋藤飛鳥さんのプロデュースも。

 

そうしてポップス/実験音楽問わず活躍する音楽家のやくしまるさんですが、アーティストとしても第一線で活動中。2016年には、メディアアート施設「山口情報芸術センター[YCAM]」にて特別企画展「天声ジングル - ∞面体」を開催。立体音響や巨大スクリーンを用いたインスタレーションなどを展示しました。そうした独特の発想と実行力が評価され、今回ヨーロッパの科学芸術賞でグランプリを取ったのは、スゴイことですよね。

YCAMでのパフォーマンス:やくしまるえつこ『わたしは人類』(変異ver. at YCAM)

 

遺伝子組換えの微生物で曲を発表?!

ImHumanity_culture3_

グランプリを受賞した『わたしは人類』とは、微生物の遺伝子情報から制作した楽曲を、遺伝子組換え技術を駆使して、”音源”と実際にその楽曲情報を染色体に組み込んだ”遺伝子組換え微生物”の形で発表した作品。やくしまるさんは遺伝子情報を楽曲に取り入れるだけでなく、そうして生まれた楽曲をまた遺伝子の中に組み込んだ微生物を作っていて、入れ子構造をもった作品にしているんですね。といっても難しい音楽ではなく、昨年茨城県で開催された芸術祭「KENPOKU ART 2016」のテーマ曲としてリリースされた、正真正銘のポップミュージックなのがすごいところ。

「この音楽をDNA情報にもつ遺伝子組換え微生物は自己複製し続けることが可能である。いつか 人類が滅んだとしても、人類に代わる新たな生命体がまたその記録を読み解き、音楽を奏で、歴史をつなぐことになるだろう。」やくしまるえつこ

作品のコンセプトは「人類滅亡後の音楽」。CDの寿命は数十年と言われますが、DNAの記録媒体としての寿命は、物理化学的には50万年!微生物のかたちで音源を残したら、いつか人類が滅んだとしても、新たな生命体が記録/DNAを読み解いて奏で、歴史をつないでくれるかもしれない…

具体的に何が行われているのかというと、茨城県の県北地域の海と山に生息している微生物「シネココッカス」の塩基配列を元に楽曲をつくり、それをDNA変換して再度シネココッカスの染色体に組み込んだ…というもの。3つ組の塩基配列「コドン」をルールに用いて、楽曲をDNAに変換しています。この人工合成がスムーズにいくように、塩基配列と楽曲のタイミングを調整しながら制作したのだそう。

 

下記がそうして作られたDNAシークエンスの設計図ですが、まるで和音のコード進行のようですよね。DNAシーケンサーを使えば、微生物から音楽を読み取ることができるそうです。

yakushimaru

このプロジェクトは微生物の遺伝子組換えを農業などではなく音楽作品として使用するという前代未聞の試みだったために、経済産業大臣から大臣認可が必要になるなど、様々なハードルを乗り越えて実現したもの。「遺伝子組換えした微生物を音楽メディアとして使う」というアイデアをここまで実際に実行してしまうのが、本当にすごいところです。

 

これまでも脳波、心拍、まばたきなど実際の生体データをリアルタイムで公表するWebサイト「YAKUSHIMARU BODY HACK」など、音楽と科学を結び付ける活動をしてきたやくしまるさん。なぜかバイオアーティストには女性が多い印象があるのですが、今後はやくしまるさんも日本発のバイオアーティストとして世界的な活躍をされていくかもしれませんね。

Text: Akiko Saito


やくしまるえつこ『わたしは人類』 / Etsuko Yakushimaru – “I’m Humanity”
yakushimaruetsuko.com/archives/2602


#Share it!

#Share it!

FOLLOW US

GINZA公式アカウント

PICK UP

MAGAZINE

2019年5月
2019年4月12日発売

GINZA2019年5月

No.263 / 2019年4月12日発売 / 予価:800円

This Issue:
お買いもの賢者

合言葉は
A Boogie-Woogie Power Shopper!

ニューオープンのショップで好きなブランドの世界観に浸りながら。気になるECサイトで手のひらショッピング…。“お買いもの ”のスタイルが多様化しても、何かを買うときの心躍る気持ちは不変ですね。
続きを読む

BUY NOW

今すぐネットで購入

MAGAZINE HOUSE amazon

1年間定期購読
(17% OFF)