15 Jun 2022
フェンディが注目するクリエイター「アントニオ・ロペス」 モード界が愛したイラストレーター

モード界をリードするブランドが、いま注目するクリエイターとは?コレクションを発表する場や文化のサポート事業を通じてタッグを組む、覚えておきたい最先端の才能を紹介する。
FENDI
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ファッションイラストレーター
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フェンディが春夏コレクションでフィーチャーしたのは、モード界が愛したイラストレーター、アントニオ・ロペス。1970年から80年代にかけて雑誌やデパート広告のために描いたドローイングの数々が、後のアートやデザインの世界にも広く影響を与えた。
出発点はアーカイヴから発掘したロペスの手描きロゴ。メゾンに残るカール・ラガーフェルドのレガシーをたどるなか「同時期に活躍し、興味を抱いていた人々にも注目しました。カールの友人だったロペスは常に私にインスピレーションを与えてくれる存在。先進性があり解放的で、アンディ・ウォーホルからスティーヴン・マイゼル、デヴィッド・ホックニーにいたるまであらゆる人の尊敬を集めた。新たな世代に彼を紹介したいと思ったんです」と、アーティスティック ディレクターのキム・ジョーンズは語る。
ロペスの作品が、フェンディの服やバッグとなって蘇った。
ロペスはNYのファッション工科大学で学んだ後に活動を開始。才能が花開いたのは1969年に渡ったパリでのこと。ラガーフェルドをはじめとするデザイナーや作品のミューズとなった〝ロペスウーマン〟(ジェリー・ホールやティナ・チャウ、ジェシカ・ラングら)と親交を深め、目の覚める力強い色使いと曲線を特徴とする独自のスタイルを築き上げた。75年にNYに戻ってからは「イラストレーター界のピカソ」と称されるほどの華々しい活躍を見せたが、87年、44歳にしてこの世を去った夭逝のクリエイターだ。
Profile

Antonio Lopez アントニオ・ロペス
1943年、プエルトリコ出身。7歳で家族とNYに移住。75年にブロードウェイにスタジオを構える。87年エイズによる合併症により死去。
Text&Edit: Aiko Ishii
GINZA2022年4月号掲載