もっとちゃんとエントリーシート書こうよ。
バイトの面接受けるたびに同じことを言われるヒメアジサイ。名前の欄に<姫紫陽花>と書くだけで憂鬱になるそう。普通のアジサイよりちょっと小ぶりで葉がギザギザ、ってだけで姫がつく。‘姫=小さい‘という意味で、それ名前につけるってどうなの。だったら、人間だって小柄な田中さんは姫田中って名乗ってほしい。おやゆび姫は姫おやゆびだよね。じゃあ、チワワって姫犬? 姫百合とお茶するたびに延々、姫問題を話し合ってる。難しいお年頃なのだ。
初夏の代表的な花のアジサイ。日本原産、万葉集に詠まれ、近年は映画や歌のタイトルに使われ、東京港区花やさいたま市花、切手のデザインに採用されたことも。母の日は忙しいカーネーションの助っ人でボランティア活動まで。酸性アルカリ性の色産み分けを公開されても嫌な顔ひとつしない。アジサイ一族は総じて大らかで人気者。ヒメアジサイだって立派なアジサイなんだから自己PRの欄に書くこといっぱいあるのに「私、ヒメ系ですから。ガーベラからも『ほんまは秘アジサイちゃうん?』とセクハラ受けてますから」と。
そんなヒメアジサイ、最近アジサイ族の長老に改名を申し入れているとか。おしゃれゴージャス西洋アジサイの台頭で、それらと区別するために「路地紫陽花さん」と呼ばれることもあり、なんかそっちの方がしっくりくるので<路地紫陽花>で生きていきたいらしい。わかったよ。ロジアジサイ上等! なのであります。