3Dプリンターを使って服を作るデザイナーもいれば、アフリカの技術に目を向けるブランドもある。あなたが抱く“ファッションの未来”とは、果たして? 年始ですもの、たくさんの夢を描いてみましょう。
まだまだ寒い冬、ホットなWEBショッピング事情「ファッション未来予想図2017」テーマ06:ネットの拡散力を生かした販売スタイル in NY
ネットの拡散力を生かした販売スタイル in NY
私たちが日々袖を通している商品の価格は、原材料、生産コスト、輸送費、人件費などさまざまな要因から算出される。モノを動かす距離が大きいほど、またモノが通過するポイントや人が増えるほど、モノの価格は高くなってしまう。そこを逆手にとって、消費者が支払う価格を抑えるために、卸売を行わないで「インターネットの直売りオンリー」を謳うブランドが、アメリカを中心に徐々に増えている。
2008年にブルックリンで生まれたブランド〈アウトライヤー〉は、そんなムーブメントのパイオニアのひとつ。テクニカル素材を使いながらスタイル性の高いアクティブウェアがネットでブレイクし、ソーシャルメディアを通じてファンと直接つながる手法で浸透。またメンズの世界でじわじわと広がってきたこの手法を価値観の軸にするブランドが、ここ数年少しずつ増えている。たとえばニューヨークを拠点にする〈UNIFORME〉は、超高級の素材を使いながら、価格を抑えるために、シーズン展開をせずにベーシックなスタイルを直売り。また〈エバーレーン〉はさらに一歩進めて、それぞれの商品の材料費、人件費、関税と、価格の内訳を公開することで「透明性の高いブランド」を謳う。こんな動きがファッションの世界で価格革命の可能性を秘めている。
OUTLIER
自転車ライダーの2人組が、ミーティングに出るのにも恥ずかしくない都会着風のアクティブウェアを、と立ち上げたブランド。自転車用パンツからオックスフォードシャツ、アウターと徐々に展開を拡大。outlier.nyc
UNIFORME
サスティナブルな方法、優良な労働環境で作られるラグジュアリーな素材にこだわり、NYの工場で生産。シーズン展開なし、ベーシックに絞ることで価格を抑えようという試みだ。unifor.me
EVERLANE
スローガンは「ラディカルな透明性」。価格の内訳から商品が作られる工場の場所や労働環境まで、消費者が何にお金を払っているかを細かくウェブで公開。サンフランシスコとニューヨークで展開。www.everlane.com/international
Photo: Getty images
Text&Edit: Yumiko Sakuma