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GINZA GEEK GIRL おしゃれでギークな彼女たち – バイオアーティスト 福原志保

GINZA GEEK GIRL おしゃれでギークな彼女たち – バイオアーティスト 福原志保

何もかもが倍速で移り変わる街、東京を舞台に、テクノロジーを駆使して活躍する魅力的な女性たちをご紹介。


MEMBER

福原志保 @vitronique_ja
アーティストグループBCL主宰。Google ATAPとリーバイスによる導電性デニムのプロジェクト「Project Jacquard」でテキスタイル開発とクリエイティブリードとしても活動。


PLACE

Terratoria
『TodaysArt.JP TOKYO』やジェフ・ミルズのエキシビションなど先鋭的なイベントを行う、寺田倉庫のアートスペース。

 

遺伝子工学などの生命科学を使う「バイオアート」は今最も面白いジャンル。研究所での実験からインスピレーションを得て、思いもかけない作品を生み出すアーティストはどんなことを考えているのだろう?

アレキサンダー・マックイーンのワンピースとリック・オウエンスのジャケットに身を包む福原さん。甲冑のように輝くディオールのショルダーバッグには、鮮やかなブルーのヘッドフォン〈Parrot〉が。フランス製で、フィリップ・スタルクがデザインしたワイヤレスのもの。

「このバッグ、武器になりそうでしょう(笑)。チェーンの長さが変えられるから実用的なんですよ。ヘッドフォンはワイヤレスなので、子どものお弁当を作るときとか、お料理するときにも重宝しています」

最先端のテクノロジーの知識と、自らのスタイルを崩さないアナログなフラットさの両方を兼ね備えているのが福原さんの魅力。歌声合成ソフトの「初音ミク」の仮想人格情報が記録されたDNAを、iPS細胞で生成した心筋細胞に挿入したインスタレーション作品[Ghost in the Cell]はボカロシーンをも巻き込み、大きな反響を呼びました。

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CL[Ghost in the Cell]2015  撮影: 金沢21世紀美術館

BCL[Ghost in the Cell]2015
撮影: 金沢21世紀美術館

彼女のルーツは、医学博士の父とファッションデザイナーの母にあるといいます。思春期にはヌーヴェル・ヴァーグなどのフランス映画にどっぷりハマり、映像作家を目指して高校卒業後にフランスへ渡る。そこから「大学の図書館から美大が見えて面白そうだった」という理由で現代アートに転向したそう。

「大学(ロイヤル・カレッジ・オブ・アート)の課題でバイオアートのテーマが出たときに、亡くなった人のDNAを木のDNA内に保存し“生きた墓標”を作る、という作品[Biopresence]がすんなりとできました。ここで、自分のなかにあったアートとテクノロジーがつながり、やりたいビジョンが明確に見えたんだと思います。卒業後にはBiopresence社をイギリスで設立してアーティスト活動を始め、いまは日本を拠点に活動しています」

 

BCL[Biopresence]2005

BCL[Biopresence]2005



現在進行するGoogle ATAPのプロジェクト「Project Jacquard」。リーバイスと共同開発しているデニムはもっとも過酷なテキスタイルのひとつ、織りも加工の条件も厳しく、洗濯に耐えなければならない……難しいけど、やりがいがあるそう。

「そうした前例のないものを作るときには、言葉を超えた存在感がある、美術館に展示できるくらい“美しいサンプル”を作らないと駄目ですね。私は今あるガジェットには不満があって、みんなと同じものを持つのもイヤだし、電話なんて画面に向かってしゃべる意味がわからない。Project Jacquardでは服をなでると電話をかけられる、というようなことがすでに実現できています。これからは機能を装着する“ウェアラブル”ではなく、洋服のように身につける“ウェアリング”になるでしょう」と、身につけるものにはこだわりがある福原さん。

「ファッションデザイナーはリスペクトしています。すごい精神力と体力だと思いますね。とくにラフ・シモンズは彼自身もすごくストリクトで、アーティストに近い人。ヴィクター&ロルフも好きですが、デザイナー自身というよりも、アレキサンダー・ワンがやっていた頃のバレンシアガなど、その人とメゾンのクリエイションがハマることによって“自分超え”をしていくところに興味を惹かれます。自分自身の考えを反映した洋服を作って、それを着る人がまた、その洋服によって自己表現をする。それはファッションでしかできないことですよね」

ハイテクな世界に身を置く忙しい人は、やはり通信販売で洋服を買うもの?
「ファッションは2次元が3次元になるものですから、オンラインでは本当の良さがわかりづらい。必ず試着をして、体の線が綺麗に出るものを買います。でも、もし、オーダーしたものがドローンで届いて、返品したかったらまたドローンで持っていってくれる、なんてサービスができたら通販してしまうかも(笑)」

ちなみに彼女が情報を収集する方法も、実はアナログ派なのだそう。最新の情報が載っているイメージのあるインターネットですが、もうすでに公開されている情報なので、古くなっているのだといいます。

「本当に新しい情報は、人が持っています。鍵を握るキーパーソンがいて、その人だけが知っている。それが何かを見つけるのも私の仕事です」

 

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ディオールのバッグと、フランスのParrot社のヘッドフォン〈Parrot Zik 2.0〉。騒音を98%カットするノイズキャンセリング機能がウリ。

 


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金沢で購入したメゾン マルジェラのレザーのバッグ。福原さんも日々たくさんの荷物を持ち歩く。「いつも岩のように重いです」

Photo: Yosuke Suzuki (Erz)   Text&Edit: Akiko Saito

2016年5月号掲載

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