韓国のHIP HOP最前線。Jay Parkが立ち上げたレーベル「H1GHR MUSIC RECORDS」を深掘り

韓国のHIP HOP最前線。Jay Parkが立ち上げたレーベル「H1GHR MUSIC RECORDS」を深掘り

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韓国ヒップホップの魅力を紹介したこの記事から半年。その後も新しいラッパーが続々と登場している。音楽性もファッションもバラエティに富んでいるので、誰でもきっと好みのアーティストを見つけられるはず。だけどどこから手を付けたらいいか分からない……。そんな人たちのために、今最もホットなレーベル「H1GHR MUSIC RECORDS」を紹介しよう。


韓国では近年ヒップホップのブームが続いており、ラッパーは今や中高生が最も憧れる職業のひとつだ。BTS(防弾少年団)などのようにヒップホップをメインとしたK-POPグループの存在はもちろん、ほとんどのK-POPグループにラップ担当がいることからも、ラップというものがいかに韓国の大衆音楽に浸透しているか分かるだろう。

2010年代に入ってからはヒップホップレーベルが次々に誕生。その多くはラッパー自身の手によって立ち上げられたものだ。音楽的に親和性がある者同士が集まり、一緒に音楽を作ったりライブを行ったりしながら各レーベルのカラーを確立させている。そのため実態としてはクルー(仲間)のような性格が強い。

韓国のラッパーはゴリゴリ系からアイドル系まで実に多種多様で、ヒットチャートの上位をヒップホップが占めることは珍しくない。その中でも特に大衆的な成功を遂げているのがJay Park(ジェイ・パーク)だ。

米シアトル出身の韓国系アメリカ人である彼は、幼い頃から本場で積み上げたB-Boyとしての素養、元アイドルであるがゆえに鍛え上げられた歌唱力とダンススキル、そして近年ますます磨きのかかったラップスキルなど、あらゆる面で一流の才能を発揮しているトップスターだ。昨年はJay-Zが運営するレーベルRoc Nationにアジア系として初めて契約し、本格的にアメリカ市場への進出も果たした。そんなJay Parkが、幼馴染であり長年の音楽仲間でもあるCha Cha Maloneと2人で設立したのがH1GHR MUSIC RECORDSだ。

このたび同レーベルに所属するラッパーのうち、Sik-K、pH-1、Woodie Gochild、HAONの4人が来日ライブをすることとなった。2018年11月23日(金・祝)に渋谷WWWにて開催される「H1GHR Music Records in TOKYO 2018 Presented by lute」を記念し、本稿では同レーベルと主要メンバーを一挙にご紹介したい。

 

H1GHR MUSIC RECORD
(ハイヤー・ミュージック・レコーズ)

まずはレーベルについて簡単に説明しよう。H1GHR MUSIC RECORD(ハイヤー・ミュージック・レコーズ)は、Jay ParkとCha Cha Maloneが2017年5月に設立したヒップホップ専門レーベルだ。2013年にレーベルAOMGを設立し、メインストリームとアンダーグラウンド両方のヒップホップシーンを席巻したJay Parkは、より世界に目を向ける形で新たなレーベルを作ることにした。設立者の2人が米シアトル出身であることから、韓国とシアトルの両方に拠点を置いたインターナショナル・レーベルとしてローンチ。新鋭アーティストたちを集結させ、安定した人気を保つ中堅どころが集まったAOMGとはひと味違った魅力を見せている。
所属アーティストは韓国メンバーと海外メンバーに分けられる。韓国メンバーはG.Soul、Sik-K、pH-1、Woodie Gochild、HAONの5人。海外メンバーはYultron、Avatar Darko、Raz Simone、Phe Reds、JARV DEE、Ted Park。そしてプロデューサーとしてはGroovyRoom、WOOGIE、Thurxdayが所属している。

 

Sik-K
(シック・ケイ)

1994年生まれ。H1GHR MUSICの看板アーティスト。シンギング・ラップの代名詞のひとりに数えられ、実際に本人もラップより歌うことのほうが好きだと話す。アメリカのメインストリームに追従した大衆的なスタイルが得意。早いうちからSik-Kの才能を見抜いていたJay Parkは、水面下で連絡を取り続けていたという。そんな彼が大きな注目を浴びるきっかけとなったのは、2016年に公開された複数の若手ラッパーたちによるトラック『EUNG FREETYLE』に参加したことだった。その後はEPやシングルを通して、メロウなサウンドとセクシーなルックスを武器に多くの女性ファンを獲得。そしてH1GHR MUSICの設立と同時に加入し、同レーベルの第一弾アルバムとしてEP『H.A.L.F』を発表した。2018年4月には幕張メッセで開催された大規模イベント『KCON 2018 JAPAN』にも出演するなど、日本でも注目度が高い。

 

pH-1
(ピーエイチ・ワン)

韓国系アメリカ人。1989年生まれで2016年デビューという遅咲きのラッパーで、それ以前はアメリカでWeb開発者として働いていたという異色の経歴の持ち主だ。2016年に『Sugoi』という曲のミュージックビデオをYouTubeに公開し、それを観たJay ParkがpH-1にラブコールを送ったことがきっかけで一緒に仕事をするようになった。そして2017年、H1GHR MUSICの設立と同時に専属アーティストとして契約。2018年には韓国の大人気ラップ・サバイバル番組『Show Me The Money 777』にチャレンジし、本稿執筆時点(10月下旬)ではTop 6にまで勝ち残るという快挙を遂げている。同番組は近年ラッパーとしてブレイクするための登竜門にもなっているため、これから人気が急上昇していくこと間違いなしだ。愛くるしい表情に加え、ミルクティーが大好きで虫が大嫌いという可愛らしい一面も。

 

Woodie Gochild
(ウーディー・ゴーチャイルド)

1996年生まれの新鋭ラッパー。R&B、ポップス、ヒップホップなど幅広いジャンルをこなす。ブラックミュージック好きの母親の影響で子供の頃からアメリカの大衆音楽に触れ、ラッパーのVascoが経営するクラブでバイトをしながらヒップホップの世界に少しずつ踏み込んでいった。2017年に『Show Me The Money』のシーズン6に参加し、個性的なファッションと独特なキャラやダンスなどで注目を浴びた。同番組では他のラッパーの声帯模写が視聴者に受けるなど話題も多く呼んだが、惜しくも脱落。その数か月後、Jay Parkのスタジオに遊びに行ってトラックを何曲か聴かせたところ、後日呼び出されてH1GHR MUSICに誘われたという。レーベル加入後にリリースしたデビュー曲『Let’s Get It (Feat. Jay Park, Dok2) 』は、各種音源サイトで見事1位を獲得した。

 

HAON
(ハオン)

2000年生まれの18歳で、H1GHR MUSICの最年少ラッパー。今年上半期に放送された高校生専門のラップ・バトル番組『高等ラッパー2』で優勝を果たしたほど、その実力の高さは折り紙付きだ。同番組に出演した時点で高校は中退していたのだが、辞めた理由が「音楽をやる上で必要ない」という実に潔いもの。趣味が瞑想や太極拳だということでキャラも立っており、同性代のファンの間では常に注目の的だ。自己啓発書や映画などから影響を受けた哲学的な話を込めるなど、他のラッパーにはない独特な世界観を持っている。年齢に似合わない成熟ぶりを見せる一方で、ひとたび喋ると素朴であどけない感じが漂うところも人気の理由だ。今年5月に同レーベルに加入し、9月にリリースした1st EP『TRAVEL: NOAH』では改めてHAONだけが持つ哲学的な世界観を提示した。

 

G.Soul
(ジー・ソウル)

1988年生まれで、所属アーティストとしては最年長(CEOの2人は1987年生まれ)。アイドル事務所のBIG3であるJYPエンターテインメントで練習生として約15年を過ごしたという、驚異的な下積みの長さで知られる。13歳の時にオーディション番組で発掘されてJPYと契約して以降、多くのファンがデビューを心待ちにしてきたが、それが実現するまでにずい分と時間が掛かってしまった。満を持して2015年、全曲を自身が作詞・作曲したアルバム『Coming Home』でデビューを果たすも、その2年後にはJPYを出てH1GHR MUSICに移籍。それから1枚のミニアルバムを出した後に兵役に就いたため、しばらく表舞台で姿を見ることは叶わないが、歌唱力は韓国でもトップクラスと評されているだけに除隊後の注目が集まる。

 

GroovyRoom
(グルーヴィールーム)

1994年生まれのGYUJEONG(ギュジョン)とHWIMIN(フィミン)の2人から成るプロデューサー・チーム。手掛ける音楽ジャンルは多種多様で、ヒップホップ、R&B、EDM、アコースティック、ポップスなど何でも来い。2015年に活動を開始するや否や、その抜きん出た才能であっという間にヒット曲を量産した。その後もメジャー/アンダーグラウンド問わず数多くのアーティストに楽曲を提供しながら知名度を上げ、2017年にH1GHR MUSICに合流。HAONが優勝した番組『高等ラッパー2』ではメンターを務め、プロデューサーとして優れた能力を発揮したことから同番組の「事実上の主人公」と称された。さらに「Korean Hiphop Awards」では2017年、2018年と2年連続で「今年のプロデューサー」に輝いた。プロデューサーでありながら、若い女性ファンから黄色い歓声を浴びるほどアイドル的な人気を誇っている。

Text: Sakiko Torii

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