藤(戸田恵梨香)を尊敬してやまない川合(永野芽郁)。しかし3年前の事件と、それにまつわる藤の思惑が浮かび上がる。二人の関係はどうなるのか。『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』(日本テレビ、毎週水曜)いよいよ終盤へ。
『ハコヅメ』7話。藤が交番に来た真相を知りたいような知るのが怖いような……
藤が交番に来た理由となる事件がついに明らかに!
6話で退職寸前まで追い詰められ、それを乗り越えた川合(永野芽郁)。ペアを組む藤(戸田恵梨香)に対する信頼と尊敬は日々増すばかり。藤が褒められる場面で本人を差し置いて謙遜してみせ、「藤さんが褒められると自分のこと以上に嬉しいんですもん」とのたまうほど。7話ではその信頼が揺らぐできごとが起こる。
1話から藤が交番にやってきた理由としてチラチラ見え隠れしていた、藤の同期である桜(徳永えり)に起こった事件。町山署の面々があまり語ろうとしなかったこのできごとがようやく明らかになった。交番所長・伊賀崎(ムロツヨシ)の妻からかけられた「事故に遭った桜ちゃんに似てるわね」の一言に揺れる川合。川合に問われた伊賀崎はとうとう3年前の事件について詳しく語る。交通事故の処理をしていた桜のもとに白い軽トラが突っ込んでひき逃げをしていったこと、雨で証拠が流されて犯人が見つかっていないこと、それによって桜は今も入院し休職していること──。
いたずらで卵をぶつけられた川合をひどく心配したり、白い軽トラの男に話しかけられただけの川合に「逃げて!」と呼びかけたりしていたのは、桜の件があったせいだとわかる。6話でわき見運転の車に接触した川合に過剰反応していたのも同じ理由だろう。
シリアスな展開を支える伊賀崎の存在
川合は藤のためになりたいと、桜の事件解決に協力を申し出る。しかし藤は「休むのも仕事」と取り合わない。そんな中、川合は源(三浦翔平)に「似顔絵の特訓会」として呼び出され、何も詳細を聞かされないまま育休中の先輩警察官(山田キヌヲ)の証言をもとに似顔絵を描くことに。しかしうまく描くことができない。その男は「守護天使」と呼ばれ、新人女性警察官をじっと遠くから見つめるのだという。
藤とのペアで日々を過ごして成長し、少しは「警察官らしい面構え」になってきた川合。桜の事件、藤の過剰な心配、自分にかけられた「桜に似てる」という言葉、そして守護天使の存在がつながりはじめる。そんなとき、山田(山田裕貴)が源に「考えたことないですか? 藤先輩が守護天使をおびき出すために川合をおとりにしているんじゃないかって」と言っているのを聞いてしまう。
シリアスな展開が続いた7話だが、伊賀崎の存在がこの1時間にアクセントを添えていた。仕事をサボることに命をかけている伊賀崎が、その能力を活かして公然わいせつ事件の被疑者を見つけたり。その被疑者に対しておかしみのある謎の説得を真顔で繰り広げたり。以前明かされていた「妻の出産予定日にかぎって早く帰れない」という伏線がここで生かされるのもニクい。かと思えば妻が生まれたばかりの子供に向かって「パパは今君の町を守ってるんだよ」と語りかける姿もあり、警察官の過酷さと仕事の重要さが挟み込まれるのもよかった。
『ハコヅメ』、いよいよ終盤に
事件以降ぎくしゃくしていたらしい藤と桜との関係性が修復された回でもあった。藤が桜の「落ち着いたらロングヘアで同期会をしよう」という約束を守っていることも明かされる。5話で登場した同期の桃木(臼田あさ美)、松島(大西礼芳)の二人がやけにゴージャスなロングヘアだった理由もここにあったのだ。
藤は改めて桜に「絶対に犯人を捕まえる」と宣言する。藤が本当に川合をおとりと考えていたのか、桜をひいた犯人は見つかるのか。いよいよ『ハコヅメ』が終盤に向かっていく。
脚本: 根本ノンジ
演出: 南雲聖一、丸谷俊平、伊藤彰記
出演: 戸田恵梨香、永野芽郁、三浦翔平、山田裕貴、西野七瀬 他主題歌: milet「Ordinary days」
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Writer 釣木文恵
ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。
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Illustrator たけだあや
イラストレーター、ときどき粘土作家。趣味の多い京都府出身。
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