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まだまだ語りたい『ハコヅメ』今クール随一のドラマ!わざと嫌われ役を演じる川合の成長

まだまだ語りたい『ハコヅメ』今クール随一のドラマ!わざと嫌われ役を演じる川合の成長

いよいよ最終回。川合(永野芽郁)は立派な警察官になれたのか、藤(戸田恵梨香)が3年間追い続けた同期・桜(徳永えり)の事件はどうなるのか。『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』。最終回を未練たっぷりに振り返ります。


延長分がおふざけで消える

連続ドラマでは、最終回が時間拡大で放送されることがままある。例に漏れず、『ハコヅメ』も最終回は10分拡大、70分の放送となった。これまで回をまたいで追い続けてきた藤(戸田恵梨香)の同期・桜(徳永えり)をひき逃げした犯人を追い詰めるところを70分みっちりかけて描くのかと思いきや、そうはならないのが『ハコヅメ』。最終回までドラマチック”ではない”警察官の振る舞いが詰め込まれていた。

その最たるものが冒頭の鑑識ごっこ。藤と源(三浦翔平)が川合(永野芽郁)に説明しながら車上荒らしの鑑識作業をするのだが、なぜか藤が鑑識ひと筋35年のベテラン鑑識班長「いぶし銀のサブ55歳」、源が京都府警新任巡査「舞子ちゃん」に扮して作業をしていく。これが5分ほどもあって、最終回の延長の半分をここで使っているわけだ。これまで『ハコヅメ』を観てきた視聴者は、こういうおふざけも、というかおふざけこそこのドラマを貫く重要な軸だとわかっている。二人の全力のおふざけを惜しむように楽しむ、これもたいせつなシーンだ。

クライマックスで噛みまくり

川合の似顔絵が奏効し、桜ひき逃げの容疑者である「守護天使」こと木村(森下能幸)の居場所が発覚した。木村本人と、伊賀崎(ムロツヨシ)が目撃した白い軽トラの所有者である木村の勤め先の社長の二人に同時に聴取を行うこととなる。この緊迫するはずのシーンにアイスコーヒーをこぼして町山署のマスコットがプリントされたTシャツ姿になってしまう源も抜かりない。

藤たちが聴取する予定だった木村と遭遇してしまう川合。藤が3年間追ってきた犯人との対峙――。藤の指導のもと“自然に”木村に近づく川合は緊張のあまり「すみまふぇん! 警察れふ!」と言ってしまうが、木村のほうも「んおんちは!」と互いに緊張してまともな会話にならない。連続ドラマの3か月間のクライマックスが、噛みまくりの会話って!

やがて川合は木村が桜を轢いた軽トラを見つける。木村が一旦自殺しようと逃げたところで管内のことを知り尽くしている伊賀崎が木村の居場所を言い当て、そしてペア相手の桜を傷つけられてからの3年間の思いを込めて「死んで許されるわけがない」と静かに言い放つシーンは間違いなくムロの見せ場だった。

やる気のない警察官像こそが一人前の証

事事件が解決し、桜が退官届を提出しに久しぶりに町山署にやってきたシーン。「桜が決めたことだから」と止められない藤を見て川合は突然、廊下でフロア全員に聞こえるほどの大声で藤の愚痴を言い始める。
「ガサ入れのときに私が使えないからって現場から追い出すし」
「術科訓練でボコボコにするし」
全て、川合を思って藤がとった行動だ。そして川合もその意味を知っている。川合はさらに極めつけの一言を放つ。
「制服を着てる時くらい警察官らしい面構えでいろっていう年寄りくさい説教!」
このセリフは、桜たち同期が警察学校時代に言い合っていたフレーズだった。我慢ならず桜は廊下に飛び出し、そこにいた藤に宣言する。
「私やっぱり警察官やめない」「あんなアホな子の指導までさせられない」「私が根性叩き直すし」「今度は私が助けるから」

藤と出会い、ペアとして過ごしたことで警察官という仕事への使命感と責任感を持ち、「警察官らしい面構え」になってきた川合。その川合がラストに藤を救うために放った作戦が、このドラマが始まった頃の川合そのもの、「やる気のない警察官」として振る舞うことだった。警察ドラマの枠からはみ出すほどの、人間くさくてリアリティあふれるやる気のない警察官像が、使命感にあふれる警察官であった桜の心を揺り動かした。わざと嫌われ役を演じる、それこそが川合が一人前の警察官になった証拠だったのだ。

前代未聞の警察官のリアルな生態を描いた『ハコヅメ』は、ラストまでユルさを保ったまま主人公の成長をきっちりと描ききった、今クール随一のドラマだった。

『ハコヅメ』公式サイト(日本テレビ)

脚本: 根本ノンジ
演出: 南雲聖一、丸谷俊平、伊藤彰記
出演: 戸田恵梨香、永野芽郁、三浦翔平、山田裕貴、西野七瀬 他主題歌: milet「Ordinary days」

Profile

Writer 釣木文恵 つるき・ふみえ

ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。
twitter 

Profile

Illustrator たけだあや

イラストレーター、ときどき粘土作家。趣味の多い京都府出身。
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Edit: Yukiko Arai

戸田恵梨香×永野芽郁『ハコヅメ』9話

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