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本編再開『ハコヅメ』を原作マンガと照らし合わせてみた。「こんなところまで入れる!」脚本の冴え

本編再開『ハコヅメ』を原作マンガと照らし合わせてみた。「こんなところまで入れる!」脚本の冴え

元エース刑事の藤(戸田恵梨香)と新米警察官の川合(永野芽郁)の奮闘を描く『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』(日本テレビ、毎週水曜)。先週放送されたのは「特別編」その2。12話に新しいエピソードを絡めて振り返ったその1同様、その2も34話のダイジェストに留まらず、新しく撮影した部分にも「ハコヅメらしさ」が詰まっていた。「原作の空気感をそのまま再現している」との評判も高いこのドラマを、ドラマもマンガも大好きなライター釣木文恵がじっくり原作と照らし合わせてみた。


原作の世界観を大事にしています

先週放送の「特別編」その2では、「応援捜査員の皆さんありがとうの会」幹事に任命されてしまった刑事課の山田(山田裕貴)と、自分を捜査一課勤務と信じている子どもが職場見学会にやってきてしまう交番所長伊賀崎(ムロツヨシ)の相談という新撮部分を挟みつつ、3、4話のダイジェストが放送された(新撮部分で山田が明らかに笑ってしまっているのはご愛嬌)。

『ハコヅメ』の脚本を担当する根本ノンジは、公式サイト掲載のインタビューで「漫画であれ小説であれ、原作があるからドラマ化なり映像化の話がある。必ず原作に敬意を払い、原作の世界観を大事にしています」と語っている。3、4話の構成には、まさにその姿勢が見えた。

「省いてもおかしくない」ところをわざわざ入れ込む

原作マンガ(秦三子/講談社モーニングKC)では3巻所収のその19「大麻と似顔絵」からその24「コマよ走れ」の5話に渡って展開されていた、女子高生の性的暴行事件。まず、原作では最初に女子高生に聴取をしたのはドラマで西野七瀬が演じている牧高だ。牧高は刑事課、川合(永野芽郁)は交番勤務なので牧高が聴取する方が自然だろう。しかしドラマでは川合をこの事態の原因を作った本人にしたことで、彼女の葛藤と成長がよりよく見えることになった。

藤(戸田恵梨香)と牧高、川合が二段ベッドの下の段に一緒に寝るエピソードは、原作ではその19の冒頭に「警察あるある」の一つとして描かれている。さらに特捜の面々が1週間帰れずすごいニオイというエピソードは一連の事件とは全く関係なく、飛んで4巻その35「地獄はなぜ暑い」に登場したもの。それを「川合が女子高生聴取→目撃者が現れて事件が聴取内容よりも深刻なものであることが発覚→似顔絵作成→被疑者が浮かび特別捜査本部立ち上げ」という流れの後に入れ込むことで、捜査の過酷さがしっかりと浮かび上がった。ちなみに、4話ラストのマッサージシーンもその35に入っている。

「ベッドに添い寝」とか、「捜査で帰れない人たちが集う刑事課のニオイはとんでもない」とかの部分は、いわゆる従来の刑事ドラマであれば省いてもおかしくない、というかそもそも描かれない。その部分をこそ尊重し、違う巻から持ってきてまで流れに入れ込む根本の手際によって、『ハコヅメ』は原作のテイストがそのまま活かされているという評価を得ているのだろう。

原作をうまく引っ張ってきた新撮部分

なお、新撮部分の職場見学は全く違う形ではあるが15巻その130「わたしのパパは警察官」、またお疲れさま会ではないが山田が川合とともに歓迎会の幹事になるエピソードは8月23日発売の18巻に入る予定のその151「歓迎会にもコンプラを」に入っている。この歓迎会のエピソードは、ドラマ1話から謎として描かれ続けている藤の異動理由にも関わってくる物語だったりする。

さて、今週からようやく物語が再開する。2週の空きがさほど気にならないのは、新撮部分含め徹底して日常を描いているこのドラマだからこそだろう。この先の川合たちの日常がますます楽しみだ。

『ハコヅメ』公式サイト(日本テレビ)

脚本: 根本ノンジ
演出: 南雲聖一、丸谷俊平、伊藤彰記
出演: 戸田恵梨香、永野芽郁、三浦翔平、山田裕貴、西野七瀬 他主題歌: milet「Ordinary days」

Profile

Writer 釣木文恵 つるき・ふみえ

ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。
twitter 

Profile

Illustrator たけだあや

イラストレーター、ときどき粘土作家。趣味の多い京都府出身。
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Edit: Yukiko Arai

戸田恵梨香×永野芽郁『ハコヅメ』特別編2

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