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湯浅政明×古川日出男×野木亜紀子×松本大洋 ×大友良英。“能楽”×ロックな変幻自在のミュージカルアニメ『犬王』の魅力。

湯浅政明×古川日出男×野木亜紀子×松本大洋 ×大友良英。“能楽”×ロックな変幻自在のミュージカルアニメ『犬王』の魅力。

踊っているかのようにキャラクターを生き生きと見せる、自由に伸び縮みする線。その弾力のある線が生み出す疾走感と躍動感にあふれた映像世界が、湯浅政明監督作品の最大の魅力だろう。映画『夜明け告げるルーのうた』(17)、テレビアニメ『映像研には手を出すな!』(20)などで世界中を魅了する彼の待望の最新作『犬王』が、2022年5月28日(土)に公開される。室町時代に実在した能楽師・犬王と琵琶法師の友魚(ともな)を主役に、既存の枠組みを軽やかに超越する友情を描く物語だ。


舞台は、平家没落から約200年が経った室町時代。猿楽の一座に異形の子として生まれた犬王は、周囲から疎まれ、ひょうたんの面で顔を隠して過ごしている。そんな彼が、自分の容姿を怖がることのない盲目の少年・友魚と出会う。平家の呪いによって視力を失った友魚は、呪いの真相を求めて旅をする道中、琵琶法師・谷一の弟子となり、“友一”という名を与えられていた。琵琶の弦を奏でる友魚と、足を踏み鳴らす犬王は一瞬にして通じ合う。人知れず無念の死を遂げた魂の声を琵琶の音色と声に乗せ、舞うという二人の型破りなパフォーマンスは、多くの人々を魅了していく。

音楽とアニメーションの調和をで身体で感じられる湯浅作品では、これまでも山本精一、竹村延和、牛尾憲輔(agraph)、オオルタイチといったミュージシャンたちによって生み出された音も見せ場となっていた。『犬王』では、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』(13)やNHK大河ドラマ『いだてん ~東京オリムピック噺~』(19)などを手がけた大友良英が劇伴を担当し、伝統芸能とロックを融合させる。犬王には、圧倒的カリスマ性、音域の広さ、声の表現力を持つ女王蜂のアヴちゃん。また、友魚には、卓越した演技力と歌唱力を持つ森山未來が、全身全霊で声と歌を通じて表現している点も見逃せない。

本作は音楽家、美術家、漫画家、舞踊家らとの多数のコラボレーションを行い、『平家物語』の現代語訳も務めた古川日出男による小説『平家物語 犬王の巻』が原作となっている。脚本には、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(16)などの話題作を続々輩出し、これまでも小さな声を持つものたちの連帯や友情を描いてきた野木亜紀子。キャラクター原案は、『鉄コン筋クリート』『ピンポン』などで知られ、原作表紙も担当した漫画家・松本大洋が手がけている。才能あるクリエイターたちそれぞれの熱量が、スクリーンから伝わってくるようだ。

「鎮魂の芸術」とも言われる、現存する世界最古の舞台芸術である能楽の世界を『ボヘミアン・ラプソディ』(18)さながらのロック・ミュージカルとして大胆に再解釈した本作。奪われ続けても、黙らず語ることで自分の名前や物語を取り戻した犬王と友魚の生き様に触れる音楽を、リズムに合わせて身体を揺らしながら体感してほしい。

『犬王』

『犬王』ビジュアル

監督:湯浅政明
原作:古川日出男著「平家物語 犬王の巻」(河出文庫刊)
脚本:野木亜紀子
キャラクター原案:松本大洋
音楽:大友良英
アニメーション制作:サイエンスSARU
声の出演:アヴちゃん(女王蜂)、森山未來、柄本佑、津田健次郎、松重豊ほか
配給:アニプレックス、アスミック・エース

2021年製作/97分/G/日本
2022年5月28日(土)全国ロードショー
©2021 “INU-OH” Film Partners

公式サイトはこちら

Text:Tomoko Ogawa

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