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パフォーマンス×ニューメディアのパイオニア。 ジョーン・ジョナスの個展が京都で開催中

パフォーマンス×ニューメディアのパイオニア。 ジョーン・ジョナスの個展が京都で開催中

TOP画像: Portrait of Joan Jonas, New York, 2012. Photo by Brigitte Lacombe

ジョーン・ジョナスは、現在83歳。その長きにわたるアーティスト活動を通じて、パフォーマンス、映像、インスタレーションなど、複数のメディアを融合させた表現を追求してきた。今もなお精力的に発表し続けている。2018年にその活動が評価され、第34回京都賞を受賞。それを記念する国内最大規模の個展が京都で開催中だ。


ジョーン・ジョナスさんの作品
Joan Jonas, Reanimation, 2010/2012/2014. Installation view of the exhibition, Light Time Tales, Hangar Bicocca, Italy, 2014. Photo by Agostino Osio

パフォーマンスとビデオアートを融合させた新しい表現形式を創始し、進化・洗練させることで現代美術の最先端を走り続けてきた。観る者に多様な解釈を許す迷宮的な作品によって、1960年代アヴァンギャルドの遺産をポストモダン芸術の枠組みへ発展的に継承し、後続世代へ多大な影響を与えてきた。

ジョーン・ジョナスさんの作品
Moving Off the Land II, 2019. Video still

ジョーン・ジョナスは、1970年代初頭にパフォーマンスとビデオを融合させた新しい表現形式で作品を創作し、両方の領域をけん引してきた。大学で美術史と彫刻を学んだ後、1960年代後半のニューヨークで多くの作家たちと交流したジョナス。特に後年ポストモダン・ダンスの神話的存在となるトリシャ・ブラウンやルシンダ・チャイルズのワークショップに参加したことが、身体表現を重視する独自の作品を生み出す契機となったという。

ジョーン・ジョナスさんの作品
Organic Honey’s Vertical Roll, 1973. Video still

1970年代になると、ビデオカメラを使用した作品を制作しはじめる。ビデオアートの歴史における古典として評価の高いVertical Roll(1972)は、現前のパフォーマンスのビデオ映像を、舞台上のTVモニターにリアルタイムで映すもので、ライブパフォーマンスと映像の混在、鑑賞者の視線とカメラ角のズレによる時間と空間の齟齬、そして電気的なシステムの遅延の可能性をも導入した革命的な構造を持つ。これは、発表後多くの作家たちから研究と参照の対象とされた。

ジョーン・ジョナスさんの作品
Organic Honey’s Vertical Roll, 1973. Video still

また、この時代アメリカで高まっていたフェミニズム運動にも影響をうけ、女性らしさや自身のアイデンティティを問うところから、ビデオや鏡を使う作品へと発展していったと、インタビューで答えている。また、その頃に初めて日本を訪れ、ソニーのポータブルビデオカメラ「ポータパック」を手に入れたこと、能を観劇したことも非常に印象に残っているとも語っている。以後も、いち早く新しいメディアを取り入れ、パフォーマンスと新しいデジタルメディアとの関係を探求し続けるアクティブな芸術家として、高い評価と尊敬を集めている。

ジョーン・ジョナスさんの作品
Reanimation, 2010/2012/2014. Installation view of the exhibition, Light Time Tales, HangarBicocca, Italy, 2014. Photo by Agostino Osio

本展では、ジョナス作品の重要なキーワードとなる女性、物語、環境問題などを辿りながら、その作品世界を紹介している。5室の展示室のうち、最も大きな部屋で展開されるのは、近年の代表作とも言える《Reanimation》。インスタレーションとパフォーマンスの2バージョンを有するこの作品。つい先日、ロームシアター京都でパフォーマンスの公演が行われた。

ジョーン・ジョナスさんの作品
ショーン・ジョナス 京都賞受賞記念パフォーマンス「Reanimation」撮影:井上嘉和

パフォーマンス作品では、映像や音、小道具、衣装が彼女の身体と相関しながら展開していくのに対し、インスタレーション作品では、彼女の身体の不在を埋め尽くすかの如く、複数の要素がさらに濃密に絡まり合って、展示空間を飲み込んでいく。彼女が展示空間をそれぞれどのようにとらえ、イメージやアイデアを相互に移動させながら作品世界を構築していくのか。ジョナスの作品を、自分自身の身体で感じ取る貴重な機会。ぜひとも逃さず体験してもらいたい。

Joan Jonas ジョーン・ジョナス

1936年ニューヨーク生まれ、同市在住。1970年代初頭にパフォーマンスとビデオを融合させた新しい表現形式を創始する。この領域における先駆者の一人であり、現在もパフォーマンスと新しいデジタルメディアとの関係を探求し続けるアクティブな芸術家として、高い評価と尊敬を集めている。世界各地の美術館での個展・パフォーマンスのほか、ドクメンタなどの国際展、企画展に多数出品している。第56回ヴェネツィア・ビエンナーレ(2015)にアメリカ館代表として参加。2018年にはロンドンのテート・モダンで大規模な回顧展が行われた(3月–5月。2019年5月–9月にポルトのセラルヴェス現代美術館に巡回)。2019年、TBA21–Academy(ヴェネツィア)からのコミッションにより、第58回ヴェネツィア・ビエンナーレの同時開催展として開催された「Moving Off the Land II」では、近年の海洋環境をテーマにしたインスタレーションとパフォーマンスを発表するなど、旺盛な活動を行っている。

ジョーン・ジョナス Five Rooms For Kyoto: 1972–2019

会場: 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
会期: 開催中~2020年2月2日(日)
時間: 11:00–19:00
休館日: 月曜日(1月13日[月・祝]は開館、翌1月14日[火]を休館)、年末年始(12月29日[日]-1月3日[金])
入場無料
公式HP: http://gallery.kcua.ac.jp/joanjonas/

http://gallery.kcua.ac.jp/exhibitions/20191214_id=16982#ja

柴原聡子

建築設計事務所や美術館勤務を経て、フリーランスの編集・企画・執筆・広報として活動。建築やアートにかかわる記事の執筆、印刷物やウェブサイトを制作するほか、展覧会やイベントの企画・広報も行う。企画した展覧会に「ファンタスマ――ケイト・ロードの標本室」、「スタジオ・ムンバイ 夏の家」など

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