子どもが生まれて以来、よくもまあこんなにかわいい子がうちにやってきてくれたものだと、感動してばかりだ。毎日毎日、朝起きたとき、こちらを見て笑うとき、お風呂から上がったときなどに「ぎゃあ、かわいい」と心をつかまれてうきうきする。血を分けたとか顔が似ているとか、そういうことは自分にとってはあんまり重要ではないみたい。小さな生きものがある日突然あらわれ、自分のそばで息をしているというだけで、これまで感じたことのないようなエルオーブイイーがわきあがり、脳みその奥からじわっといけない麻薬が出てくるのだ!
子は最初、まるまるとして芸人のホンコンさんに似ていたけれど、だんだん黒目がちのやさしい顔立ちになってきた。まだ首の座らないうちは、頭からかぶせるタイプのものよりも、前をあわせて紐で結ぶ浴衣タイプの肌着のほうが便利なんだと、先に子育てをスタートした友人夫婦が教えてくれた。長い肌着はどこか白装束に似ていて、人間、生まれた時と死ぬ時に着る服は同じなんだなと思った。
さて、わたしは現在、平日は保育園に子をあずけて、夕方まで時短勤務で仕事をしている。時短勤務の人って、早く帰ってなにをしているのでしょうか? これまでは正直、毎日先に帰る時短の先輩を見て「早く帰れていいなあ…」とうらやましく思ったこともある。けれども蓋を開けてみると、こちらはこちらで、かなり時間との戦い的な側面があった。
まず保育園へのお迎えじたい、遅れたら延長料金がかかるので、いつもダッシュ勝平である。そして一般的に子どもの理想的な就寝時間は20時とか21時とされているので、この時間に寝かせるために、ここからすべてを逆算で行動することになる。わたしの場合、子を寝かせる前に「子の夕食の支度+子が夕食をたべる+1回目の授乳」「子のお風呂+2回目の授乳」が必須なので、18時に園に到着し18:30に帰宅したとして、1時間半から2時間ぐらいはこれらのためにフル回転だ。途中で夫のTが帰ってくるので、風呂はTが入れる。ここで一息つけるかと思うが、自分たちの夕食の支度があるし、子の入浴時間は短く、入ったと思ったらすぐに出てくる。そしたら受け取って、からだをふき、保湿クリームをぬって、服を着せ、授乳をする。
それらのすべてが無事に終わり、いざ寝かしつけとなっても、最近は暑くて寝苦しいのか、なかなかすぐには寝ない。だっこ紐に入れ、ゆらゆらしながら眠りに誘う。Tにはその間に夕食を食べてもらうが、わたしが先に食べて、Tが寝かしつけをするときもある。子がすんなりと寝てくれたときは、いっしょに食べる。わたしたちは、とくに決まった役割をおたがいに決めていない。食事の用意はわたしがすることが多いが、それはわたしのほうが得意だからそうするのであって、Tが休みの日はTが作る。どちらかがあることをしていたらどちらかが休むし、どちらかが疲れていたら、そういうときは寝ていてよしということになんとなくなった。子育てをするようになってから自分たちの関係は、共通の目標を持ち、困った時にはサポートしあう、チームメイトか同僚のような感じになってきた。
子はいったん眠ると、朝まで目を覚まさないので、わたしはこのときにやっと息をつくことができる。ご飯を食べて、お風呂に入り、だいたい夜の11時頃から1時ごろまでを、書きものをする時間としている(そうでなければドラクエをやる)。昔は平気で深夜の2時や3時まで起きていたけれど、この頃は日付が変わる前に寝てしまうことも多い。わたしが仕事をしているとき、Tはテレビを見ながら洗濯物をたたんだり、まんがを読んだり、次の日に保育園にもっていくものをまとめたりしている。いまのところ家事分担にかんしては、なかなかうまくできていると思う。Tは授乳ができないので、それだけはちょっとくやしそうだ。