デジタルな世の中、アナログの子育て「KAZAK」編集・発行人アギーの「わたし産みましたわ」

デジタルな世の中、アナログの子育て「KAZAK」編集・発行人アギーの「わたし産みましたわ」

育児はとても楽しい。大変なことがないわけではないけれど、子のあかるい性格とかわいらしさに、ずいぶんと助けられている。そして、夫Tもガシガシと家事育児をする人であることと、平日は夕方まで保育園に預かってもらっていること。これらのおかげで子育てにかんするトータルの負担は各所に分散できており、なんというか、今のところはなかなかよい感じなのではないだろうか。

でもたまに、あきらかに「はい、詰んだ」と思うときがある。たとえば週末だ。Tは週末も仕事になることが多く、そうするとわたしはその日、家事と育児をすべてひとりで担当する、いわゆるワンオペ状態になる。家事か育児、どちらかひとつだけをやればよいならいいのだけど、生活をしているかぎりはそうもいかない。まず、子の洗濯物と自分たちの洗濯物がたんまりたまっている。ああ、離乳食のストックも作らなきゃ。一週間分の自分たちの献立を考えて、スーパーへ買い出しにも行かないといけないし、お昼寝もさせないと。頭の中は一日の時間配分でフル回転、しかも、余裕のないときにかぎって不注意でなにかをこぼしたり落としたりして、むだな仕事が増える!

しかしいちばんやっかいなのは、子のためにせっせと作業をしているときに、ほうっておかれていると感じるのか、子があまえて抱っこをもとめてくることだ。そうだよね、母ちゃんいまおまえのごはんつくってるんだけど、そんなのわからないよね……。抱っこをすると喜ぶが、降ろすとまた泣く。けっきょくずうっと抱き続けることになって両手がふさがり、ほかの作業が止まってしまう。「はい、詰んだ」という心の声が聞こえる。こんなとき、だれかもうひとりいてくれたら、ととても思う。といってもだれもいないので、抱っこ紐でおんぶし、よしよしと子をなだめながら、小さく切った野菜をやわらかく煮、ベランダに出て何度目かの洗濯物を干す自分の姿に「昭和かよ」とつっこみたくなる。どんなに世の中がデジタル化したって、子育ては昔と変わらず、ひとつひとつが地味なアナログ作業だ。自分のことをする時間はまったくとれず、髪はボサボサで、すっぴんどころか顔さえ洗えていない。ふええ。

わたし産みましたわ6

ひとりで、あれもこれもは無理である。子はだんだん体力もついてきているので、これからは公園などに連れて行き、外で遊ばせることも必要だろう。どちらの両親も遠方で、近くに頼れる人もいない。そこでわたしはTに、もう少し土日に休みを取れないものかと相談をしてみた。子どもが小さい間だけでも、なんとかならないだろうか。けれども返ってきたのは「職場には人が足りないし、すでに決まったシフトを変えるのは無理」というドライな反応。わたしは思わずいかりくるった。えっと、家にも、家にも人はまったく足りてないのだけれど、それにかんしてはどう思うのか。会社のほうが人を増やせばいいのではないのか。あなたは平日に休みがあるからいいだろうが、わたしは月曜日から金曜日までみっちり働いているのに週末もこんな調子で、いったいいつ休めるというのか。するとTの口から出たのは「じゃあ土曜日も保育園に預ける?」という、まったく予想外の、ななめ横からの、信じられない提案なのだった。えっと、わたしの言いたかったのはそういうことではなかった。子といっしょに過ごせる時間は大事だし、これ以上離れる日を増やすつもりはない。ところが、Tにはそれは矛盾した発言に思えるのだという。わたしの中では、子どもといっしょにいたいと思うことと、ワンオペが負担であるということはまったく別なのに、なぜそれをわかってくれないのだろう。わたしは、ただ協力しあって子育てがしたいだけだ。子育てのあいまにも、一息つける瞬間がほしいだけだ(ただ、フェアにするためにつけくわえると、Tは平日休みを利用して子を健康診断に連れていったり、やっかいな役所関係の書類を処理してくれたりするので、それはとてもありがたい。そして自分が面倒を見られる日は、映画でも飲みにでもどんどん行っておいで、と言ってくれている)。

さまざまな事情で、普段からワンオペが常態となっているお母さんやお父さんもたくさん知っている。ほんとうに頭が下がります……! がんばろうね……

子どもが大きくなると、今より楽になるのか、それとも逆にしんどくなるのかは、まだわからない。わたしは基本がぐうたらなので、あと20年ぐらいはだらだら昼まで寝ることもかなわないのかなと思うと、絶望してしまいそうだ。でも今は、ただ目の前にあることをひとつひとつこなしていくしかない。ごはんを作り、散歩につれていき、抱っこをして、おむつを替える、それをくりかえしていつの間にか気がついたときには、子だけでなくわたしも、ちょっとは成長しているのだと思っていたい。

 

aggiiiiiii

アギー≫ZINE『KAZAK』編集/発行人。兵庫県出身、東京都在住。独自にガールズカルチャーを追い続ける。GINZA2016年11月号「読むファッション」特集では「KAZAK in GINZA」を制作。
http://kazakmagazine.blogspot.jp/

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