SEARCH GINZA ID

韓国カルチャーを牽引するクリエイターたち vol.3|アーティスト、デザイナー・XIN

韓国カルチャーを牽引するクリエイターたち vol.3|アーティスト、デザイナー・XIN

伝統の基盤の上で、成熟したデジタル環境と“hurry-hurry”文化のもと日々刻々と変化する韓国社会。熱狂のど真ん中にいるアーティストの視点を探る。


K-FASHIONを切り拓くチャレンジャー
XIN
アーティスト、デザイナー

韓国では、音楽とファッションシーンの関係は日本以上に密接かもしれない。Kポップ、そしてKファッションにおいて10年以上その発展を最前線で牽引してきたデザイナーのXINことSeung-Ho Yang。ガールクラッシュ=女性が憧れる女性グループの先駆けである2NE1(2009〜16)のスタイリングを手がけ、従来と一線を画すクールなイメージを支え、注目を浴びた。ついに今年、満を持して自身のブランド〈XYN〉を立ち上げ。ファッション教育の道を通ることなく、自身の力で着々と飛躍を遂げてきた。

—ファッションへの興味が芽生えたのはいつごろでしたか?

「カナダの中学に通っていたのですが、学校の友達の間で流行しているスタイルを見て、自然と興味を持ち始めました。クラスにはスケートボードに乗るクールな子たちがいて、共通するファッションコードがありました。STÜSSYのTシャツにロングヘア、ダボッとしたパンツ、いわゆるスケートボードスタイル。韓国では見たことのないファッションで衝撃を受けました」

—スタイリストになった経緯は?

「高校生の時ファッションの勉強をするために、ロンドンへ行こうと決心しました。彫刻にも関心があったためセントラル・セント・マーチンズのファインアートクラスへ1年通い、その後メンズ服のクラスに入りましたが、すぐに休学して韓国へ帰らなければならなくなって。なので、正式にファッションを学んだことはないんです。ただ、服、そして音楽が好きで、友達が多かった。それで自然と機会をもらって、スタイリストとして活動するように」

—アシスタントからではなく、いきなり仕事をはじめたとは驚きです。

「韓国に戻ってから、友人のG-DRAGON(クォン・ジヨン)を通じてテディさん(YGエンターテインメントプロデューサー、BLACKPINKも手がける)に初めて出会いました。それから半年ほど経ち、彼がプロデュースしたグループ2NE1がデビューするので、スタイリングをしてみないかと声をかけていただいて。09年ですね。時間が経ってから知った事実ですが、当時21歳のファッションを勉強したこともない私を抜擢するなんて、多くの反対があったと聞きました」

—G-DRAGONさんがきっかけを作ってくれていたんですね。

「ジヨンは私の親友です。スーパースターだとはまったく意識していないし、その情熱と謙虚さは、純粋な子どものよう。私達は友達として、お互いできることは最大限サポートしようとしています。そして、テディさんを今でも尊敬しています。一般的にスタイリストは師の下で働き経験を積むものであるなら、私には音楽をやっている師が周りにたくさんいたから、スタイリストになれたと言えます。10年以上過ぎた現在も、ジヨンやテディさんをはじめ、彼らとは一緒に仕事をしています」

—14年には、人気セレクトショップ「BOON THE SHOP」のクリエイティブディレクターに。

「若くて実験的なデザイナーズブランドを集め、もっともソウルらしく開放されたショップです。15年春、清潭店では初めてSNSマーケティングを取り入れ〈OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOHTM〉とコラボレーションも。ここでの仕事は、今の自分を形作る大事な要素のひとつとなりました」

—そして今春、ついに自身のブランドを始動しました。

「何かを作るのは常に好きで、服に興味を持つこと自体が、服を作りたいという願望とイコールだったのだと思います。スタイリストはその過程にあった大きな経験でした。実は16年に、韓国と日本とを行き来しながら立ち上げの準備をしていて、サンプル製作まで終えていましたが、諸事情でプロジェクトがストップ。その時手伝ってくれていた人々が、再び服作りをサポートしてくれて、それがブランドをはじめるきっかけにもなりました。ブランド名は友人から〈XYN〉を提案され、そう名づけました。“シン”という自分の名前と音は同じなのに、表記は違うという点がよかった」

—〈1017 ALYX 9SM〉のランウェイを歩き、〈XYN〉でもコラボレーションをされています。マシュー・M・ウィリアムズはどのような存在ですか?

「ソウルコレクション中に彼が韓国へ来たときに知り合って、そのカリスマ性はとても印象深かったです。私がALYXの服のあるディテールについて質問をしたところ、マシューに響いたようで連絡先を聞かれました。その後すぐパリへの飛行機チケットが届きランウェイに立つように。16年以降、実はファッションをやり直したい気持ちが消えていたけれど、パリで会ったマシューとALYXチームからは多大なインスピレーション、感動を受けました。彼は、ただ素晴らしいデザイナーなだけではなく、素晴らしい人です」

—キャリアをスタートして10年超、韓国のファッションシーンの変化をどう感じていますか。

「この仕事をはじめた時には、いわゆるデザイナーズやハイブランドなど、ファッションは本当に好きなマニアのための文化のようでした。しかし今は、ストリートにいる学生から、テレビの中の芸能人まで、みんながデザイナーブランドの服を着ている。ファッションが韓国人のライフスタイルの大部分を占め、そして韓国ファッションが世界的に大きな影響を及ぼすようになりました。また、以前は好きなデザイナーの服を、実際に触れてみたいと思っても探すのが大変で、マニアだけが探し当てられる、そんな状況でした。それが最近ではちょっと街に出れば、だいたいのブランドを見つけることができるし、オンラインなど買いものの仕方も変わって手に入れやすくなった。しかも早く。ファッションは普通の人にとっても身近なものになっています。そこにはメリット/デメリットがあり、作る側からすると一時の流行で多くの人に着てもらえるのはうれしい半面、没個性化するのもなんだかな、かといってあまり売れない服を作るぞというのも変だし、難しいと思っています」

—ファッションを取り巻く環境が変わるなか〈XYN〉が目指すことは?

「今の時点では『これ!』と、言葉で決めたくないのが本音です。自分の好きなものは日々変わるし、自分はこういう人間ですと決めたりもあまりしたくない。枠組みから自由でいたい。どんなことをやったとしても、私らしいスタイルで挑戦をしていきたいです」

exciting K-CULTURE XIN


はみだし一問一答

Q ファッション遍歴は?

A 最初はイタリアのデザイナーが好きで、かっこよく見えた服を着てみるとスキニーな自分には似合わなかったり。なので、エディ・スリマンが現れたときは衝撃でした。

Q ずっと大切にしているアイテムは?

A いまだに2003年秋のDiorのワックスコーティングのパンツやジャケットは持っています。

Q 最近好みのスタイルは?

A 黒Tシャツ&腰ばきのパンツ!まさに今日着ている格好ですね(笑)。


XIN’s WORK

XIN シン

1987年ソウル生まれ。2NE1のスタイリングを担当。ブランドアイテムのコーディネートも注目されたが、「舞台衣装は制作することも。経験がなかったので、パターンスタジオの先生のもとで、画を描き言葉で説明をしながら、とにかく作ってみようとトライしてました」。2021年3月ブランド〈XYN〉をローンチ。Instagram→ @____________xyn____________

Photo: Youngwoong Yim Text: GINZA Coordination&Translation: Shinhae Song, Rumiko Ose (TANO International) Cooperation: Erina Tanaka, Eri Masuda

GINZA2021年9月号掲載

#Share it!

#Share it!

FOLLOW US

GINZA公式アカウント

PICK UP

MAGAZINE

2021年12月号
2021年11月12日発売

GINZA2021年12月号

No.294 / 2021年11月12日発売 / 予価860円(税込み)

This Issue:
80年代カルチャーガイド!

賑やかだった時代
80年代にタイムスリップ

...続きを読む

BUY NOW

今すぐネットで購入

MAGAZINE HOUSE amazon

1年間定期購読
(17% OFF)