3年ぶりの海外旅行!ドクメンタもベネチアビエンナーレも気になったけれど、まだまだ入国への関門と止まない円安打撃がめんどくさい…。そんな時、韓国が一時的にノービザをスタートするという朗報が舞い降りた!9月2日〜5日にはFrieze Art Fairが開催し、ほかギャラリーでの展示も面白そう。ということで、勢いでフライトを取って、ソウルへ行ってきた!
3年ぶりに海外へ。ライター倉田佳子の韓国・ソウル4泊5日旅
DAY 1
「考えるよりも行動せよ」という教えも、時には良くても最悪の場合もある。成田空港でフライト前にリモート取材を終えて、さて搭乗。パスポート、陰性証明書を見せたあとに「K-ETAもしくはVISAはありますか?」と聞かれ、「ノービザと聞いたのですが…」と答えた瞬間にカウンターのスタッフの間にどよめきが走る。なんとノービザでもK-ETAは必要ということをここで知る。列に並んでた人たちの中でわたしだけ…。「72時間以内に申請が降りる」という言葉に絶望しつつ、1%の可能性を感じて待っていましたが、ゲートが閉まるまでに携帯に申請通知が来ることはなく、DAY1のはずだった一日目は成田空港で終了。みなさん、旅行の前には事前準備に気をつけましょう!(涙)
※2022年9月時点の情報です
DAY 2
韓国に夜の便で到着し、まずはホテルにチェックイン。おしゃれホテルと聞いたけれど、なぜか浴槽からベッドまで鏡ばり…。ソワソワしながら明日に備えて就寝。(汗)
DAY 3
シンガーのリム・キムに誘われて、狎鴎亭(アックジョン)にある韓国料理屋さんでのランチから1日がスタート。狎鴎亭は、ショッピング含めていま若者に人気なスポットだとか。ネンミョン(韓国冷麺)とピンデトク(緑豆チヂミ)を食べながら、年内中の活動をお互いに話すなど。
リム・キムは実はつい最近、サマーソニックを観るべく来日していて、2週間ぶりの再会。11月9日に約3年ぶりに日本でパフォーマンスを披露する予定とのことで、また来日した時に会う約束をしました。
そのあと近くにある、韓国の人気アイウェアブランド〈GENTLE MONSTER〉旗艦店へ。まず入って現れたのは、アイウェアではなくアーティストの制作スペース。国内外のアーティストとのコラボレーションをキャンペーンビジュアルや店内インスタレーションで積極的に行う彼らだからこそのスペースの使い方だなあと感心しました。5階建のビル一棟のうち、2〜3階にあがるとアイウェアショップスペース。でもここでも店内の3分の2は近未来的なオブジェがディスプレイされていて、ブランドの世界観が存分に感じられます。地下はCGから飛び出してきたようなデザインのスイーツブランド〈NUDAKE〉、4階にはコスメブランド〈Tamburins〉と、GENTLE MONSTER発祥で始まったブランドが一挙に見られます。
午後は、カンナム・COEXで開催していたFriezeへ。初日ということもあり、かなりの盛況具合に人酔いを起こしながら一周まわって退散。
具合が悪くなってお腹がすき、会場近くのごはん屋さんで白米2杯いきました…。空腹に耐えきれずすぐにオーダーしたため、料理名は覚えていないのですが、おそらくユッケジャンのようなスープがメインで、その他の副菜とご飯はおかわり自由。夕方前でしたが、サラリーマンがチャミスルを一杯ごとに乾杯し、後輩らしき方が顔を横にしてお酒を飲むという韓国式呑みマナーを目の当たりにしながら、もくもくと食べました。
それでもお腹の空き具合は収まらず、毎日夜遊びに行く前はコンビニで売っているキンパに助けられました…。
DAY 4
ホテルのハンバーガー朝食に飽き飽きとしてしまい、和食を探すブランチ。「宇宙ラーメン」という謎の看板に引き寄せられたものの、名前と打って変わってヘルシーなラーメンでエネルギー補充。
元気が出たところで、d/pで開催中のクリエイティブディレクター、イエ・ヨン・キム(Ye Young Kim)の個展「Texture Practice: The Outermost Peels」へ。イエ・ヨン・キムは、HYUKOHのスタイリストとして有名ですが今回は初の展示を発表。彼女自身が撮影したフィルム写真が並びます。被写体には、もちろんHYUKOHのボーカルであるオ・ヒョクの姿も。(コンセプトは残念ながら韓国語のみで理解できず…)
良い天気だったので、その後、近くを30分くらい散歩しながら、Hyundai Galleryへ。みなさん聞き覚えがあるだろう自動車メーカー・ヒョンデ(Hyundai) が、ギャラリーや図書館など文化施設を立ち上げていて、毎度渡韓するたびに良い試みだよなあと感心します。
Hyundai Galleryでは、韓国人アーティスト・Ayoung Kimの個展が開催していました。
近くを散歩していると、Friezeのサテライト会場を偶然にも発見。古民家のような建物で、映像作品が主に展示されていました。
映像鑑賞で一息ついてから、地下にある書店「THE BOOK SOCIETY」へ。韓国オリジナルの雑誌とかないかなあと探したものの荷物になることも考えて、書籍購入はホテル近くにあるアートブック書店「POST POETICS」にしようと一旦断念。kemioが韓国旅行の動画で言っていた通り、韓国は歩いて1分の距離でカフェが立ち並んでいて、軽食がてら寄ったカフェで実際にヘアカーラーを巻いたまま外出する女性に遭遇。
少し場所を移し、チョング駅の近くに今年4月オープンした韓国発ブランド〈POST ARCHIVE FACTION〉の旗艦店へ。LVMH 2021セミファイナリストにノミネートされたほか、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)が生前プライベートで親しんでいたことから2022F/Wで〈OFF-WHITE〉とコラボしたことも記憶に新しいブランドです。
チョング駅周辺はアックジョンに比べてショッピングエリアの気配を全く感じさせないローカルな雰囲気が漂う中、急に近未来スペースが現れます。試着室含めて指紋ひとつない静寂の店内に少しばかり緊張しながら、合うはずのないLサイズジャケットを試着。基本的には、メンズウェアのサイズ展開なのでショッピングは出来ず…。
辺鄙な場所にありますが、隣のビルに偶然見つけた書店「SosooBook」は自習室のようなスペースも兼ね備えたカフェブックストア。優しい店員さんが韓国人小説家の英語版書籍をたくさん持ってきてくれました。
ホテルで一息ついてから、夜はリニュアールオープンした書店「POST POETICS」のオープニングレセプションへ。
ここで友達のGUCCIMAYと落ち合い、一緒にディナーに。POST POETICSから歩いて3分ほどにある、GUCCIMAY行きつけのナチュラルワインバー「Blue Nude」で、洋食やカレーなどを食べながら、この会えてなかった3年間での仕事や環境の変化、恋バナなどさまざまに。
ホテルに戻り、毎晩のお供である、「Olive Young」で買ったフェイスパックをつけて2リットルの水を流し込み、就寝。
DAY 5
最終日とあって朝食からしっかり食べたいと思い、近所のビュッフェスタイルのレストランに行ったものの、なかなかのハイカロリーで完食できず。目の前では、朝からチャミスルを飲み、キムチを食べるおじいさんたちの集まりが行われていました。キムチチャーハン、キムチスープ、キムチの副菜と朝からキムチメニューを豪快に笑いながら食べるアボジ…元気の源はここにあり?
梨泰院にオープンしたばかりのセレクトショップ「DoDeTe」へ。韓国発のブランド「KIJUN」がキュレーションするショップ。こちらは、「POST POETICS」の近くにありました。
そこから散歩できる距離で、LEEUM MUSEUMへ。コレクション展から企画展までざっと見て、ミシュラン4冠かつBTSも御用達だというサムギョプサル屋さん「Gold Pig」を予約してくれた友人のモデル・Gayonに会いに。
コロナ以降久しぶりに会ったこともあり、ひとしきり話した後に少し電車に揺られてフォトグラファー・Min Hyuwooのアトリエへ。彼もコロナ以降の久しぶりの再会となりましたが、ここ数年の活躍は目覚ましく、梨泰院から遠く離れた場所へ移したアトリエは簡易的な撮影スタジオを併設するほどに拡大していて驚きました。韓国の伝統料理店で、コロナ前に来日した際に神保町で古本を爆買いした話に賑わいながら、また東京で会おうと約束を。ホテルに戻り、近所のOlive Youngで気になっていたコスメをまとめ買いしてパッキング。
Minのアトリエ玄関。
3年ぶりの韓国でしたが、もはやコロナ前よりさらに?盛り上がりを見せていました。また来年行くときは、もう少し韓国語喋れるようにいまから勉強しようっと。
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倉田佳子
1991年生まれ。国内外のファッションデザイナー、フォトグラファー、アーティストなどを幅広い分野で特集・取材。2019年3月にはアダチプレス出版によるVirgil Abloh書籍『“複雑なタイトルをここに” 』の共同翻訳・編集を行う。2022年には、DIESEL ART GALLERYの展示キュレーションを担当。同年「Gucci Bamboo 1947」にて日本人アーティスト・nico itoをコーディネーションする。(Photo by Kei Murata)
Instagram: @yoshiko_kurata