17 May 2017
世界の名監督から引っ張りだこ!ハンサムな彼女、クリステン・スチュワート「カフェ・ソサエティ」(16)「パーソナル・ショッパー」(16)

映画『トワイライト〜初恋〜』(08)でブレイクした印象が強いものの、9歳から子役デビューし、『パニック・ルーム』(02)の娘役や、『イントゥ・ザ・ワイルド』(07)などで確かな存在感を残していた女優クリステン・スチュワートが、世界の名監督から引っ張りだこのイット・ガールとなっている。
演技力はもちろん、27歳と成熟した彼女のプライベートでのハンサムっぷりは映画界だけではなくメゾンまでを虜にする。「サタデー・ナイト・ライブ」で、トランプ大統領が自身のことを好きじゃない理由として「私は超ゲイだから」と言ってのける彼女は現在、ヴィクトリアズ・シークレットのモデル、ステラ・マックスウェルと交際中。
今年は短編映画『Come Swim』(17)で監督・脚本家デビューも果たす。制作で用いた、自身の絵をAIが認識し映像に反映させるプロセスを論文として発表するなど、クリエイションにも精力的な彼女の出演作が立て続けに公開される。
ウディ・アレン監督最新作『カフェ・ソサエティ』では、1930年代の黄金時代のハリウッドにNYからやってきた主人公ボビーと既婚男性の間で揺れるチャーミングなヒロイン・秘書のヴェロニカを好演。一方、『アクトレス 〜女たちの舞台〜』(14)に続きタッグを組んだオリヴィエ・アサイヤス監督は『パーソナル・ショッパー』で、パリでセレブに代わってファッションアイテムを買い付ける代行人として働くモウリーン役を彼女に当て書き。
女優を夢見て出てきたハリウッドの酔狂さにあきれつつも、そこから離れることができない飾り気なくてスマートなヴェロニカと、「クソみたいな仕事」と自らの選択に辟易しながらも、煌めくファッション業界に魅了され、ハイブランドに袖を通して、「別人になりたい」という欲望を秘めた中性的なモウリーン。まったくの別人のような2人だが、窮屈なハリウッドを毛嫌いしながらも、そこのみで輝いてきたクリステンが演じることで真実味が増してくる。
カール・ラガーフェルドが両監督のファンであり、ブランドのミューズのクリステンが主演することから、両作品とも衣装にはシャネルが全面協力。『カフェ・ソサエティ』では、クリステンのためにドレスをデザインし、ガブリエル時代のアーカイブジュエリーも復刻。メイク・アップまで提供するほどの入れ込みよう。『パーソナル・ショッパー』ではプレスルームでの撮影も許可。カルティエもジュエリー提供し、ルブタンとともに店舗ロケもしている。タイムレスな魅力のクリステンが身にまとう、その時代のファッションからも目が離せない。
1930s in Hollywood
オフホワイト(右上)とライトピンク(左上)のシルクとレースのドレスは映画のために作られたオリジナル。
ヴェロニカ(愛称ヴォニー)のショートパンツもシャネルのオリジナル。ハリウッドシーンはカジュアル仕様。
光も衣装もわかりやすく黄金色で染まっていたハリウッドシーンから一転、NYのシーンでは自然光へとシフト。
『カフェ・ソサエティ』(16)
舞台は1930年代、黄金時代のハリウッド。NYからやってきた青年ボビー(ジェシー・アイゼンバーグ)が、上流社会の人々のライフスタイル=カフェ・ソサエティを学んでいく。TOHOシネマズみゆき座ほか公開中。
Photo by Sabrina Lantos ©2016 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.
2016 in Paris
鍵を預かり、雇い主のセレブの家へ出入りするモウリーンは、カルティエで新作のハイジュエリーをお買い上げ。
亡くなった双子の兄の元恋人と。依頼人の服の試着はしないと決めているモウリーンの私服はメンズテイスト。
スマートフォンに届く謎のSMSメッセージに誘われて、依頼人のシャネルのドレスを試着してしまい……。
『パーソナル・ショッパー』(16)
双子の兄を亡くし、悲しみから立ち直れない主人公の隠された欲望が、不可解な出来事を引き寄せるサスペンス。第69回カンヌ国際映画祭コンペティション部門監督賞受賞。TOHOシネマズ六本木ヒルズほか公開中。
©2016 CG Cinema – VORTEX SUTRA – DETAILFILM – SIRENA FILM – ARTE France CINEMA – ARTE Deutschland / WDR
Text: Tomoko Ogawa
GINZA2017年6月号掲載