「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2021」が2021年9月18日(土)より開催。メインプログラムの一つである「京都文化博物館 別館」では、写真家であり現代アーティストでもあるアーウィン・オラフの展示が行われる。遠藤克彦建築研究所が手がけたセノグラフィーも見所だ。
「KYOTOGRAPHIE 2021」、写真家アーウィン・オラフの展示空間は遠藤克彦建築研究所がデザイン
暑い夏が過ぎ去った京都では、毎年写真の祭典が開かれる。古都のいたるところに会場が散らばり、まるで宝探しでもするように地図を見ながら展示を探すのが楽しい。写真の鑑賞自体ももちろん楽しいわけだけど、やはり、それぞれに歴史やストーリーを持つ建物との掛け合わせも醍醐味だなと思う。
展示というのは、まずもって展示される作品のパワーに依るところが大きいけれど、なにを、どこで、どんな風に見せるかという空間デザインが、実はものすごく重要だ。「KYOTOGRAPHIE」の裏の楽しみは、この展示空間デザイン=セノグラフィーを味わうことだと言っても過言ではない。
2019年より本写真祭のセノグラフィーデザインを担当する遠藤克彦建築研究所。今年は、写真家アーウィン・オラフの展示を手がけた。
オラフは、1959年生まれのオランダ人アーティスト。ファッションフォトグラファーとして活躍する傍ら、女性や有色人種、LGBTQ+コミュニティなどに焦点を当てた制作で世界的に評価を受けている。そんな彼が「KYOTOGRAPHIE 2021」で見せるのは、「アヌス ミラビリス -驚異の年-」と名付けられた展示。パンデミックによる自主隔離の様子をとらえた写真や映像作品「エイプリルフール」や、気候変動によって住む場所を追われた人々を写したシリーズ「Im Wald(森の中)」などの作品が日本で初めて展示される。
そんな極めて現代的な課題を写し取った作品たちが置かれるのは、元々は日本銀行京都支店だった洋風建築「京都文化博物館 別館」。
遠藤克彦建築研究所は、この空間を横断的に使って、オラフの2種の作品群を配置。黒と白の空間それぞれが二つの作品ストーリーを示唆していながら、見る人はいつのまにかそれらを一つの流れとして鑑賞できてしまう。
歴史的建造物の中にあえて置かれたコンテンポラリーな展示壁。このコントラストをも踏まえて、オラフの作品を見るとどうなるか。
幾重にも重なった歴史の中で、時間を忘れてアートを楽しみたい。
【アヌス ミラビリス -驚異の年-】
会期: 2021年9月18日(土)〜10月17日(日)
*9月21日(火)、27日(月)、10月4日(月)、11日(月)は休み
会場: 京都文化博物館 別館
住所: 京都市中京区菱屋町 48三条高倉西入
開場時間: 10:00〜19:00(入場は閉館の30分前まで)
料金: 一般1,200円、学生900円(要学生証提示)
Text: Motoko KUROKI