「センキュー、ポップカルチャー」と「ボーイ・ミーツ・ガール」で紡ぎ出す決して消えることのない”愛“の演劇

「センキュー、ポップカルチャー」と「ボーイ・ミーツ・ガール」で紡ぎ出す決して消えることのない”愛“の演劇

 『青春ゾンビ』というブログにて、カルチャーにまつわるあれこれを記録しているヒコと申します。秋が深まってまいりました。芸術の秋にかこつけて、演劇鑑賞なんて素敵ではないでしょうか。とは言っても、「何から観始めればいいのか……」というのが、どのジャンルにおいても切実な問題。そこで、今回は演劇入門にピッタリな、ロロという劇団を紹介させてください。ロロ……記号なのか?漢字なのか?カタカナなのか?正解はカタカナで、読み方は”ろろ”。2009年の旗揚げより、東京の小劇場を中心に活動中です。決して消えることのない弾けんばかりの”愛”を描ききった『LOVE02』(2012)、三浦康嗣(口ロロ)や後藤まりことのコラボレートでシェイクスピアの古典を大胆に再解釈し、これまで存在した全てのラブストーリーを肯定した『ロミオとジュリエットのこどもたち』(2014)、あるモテ男の一代記に挑み、第60回岸田國士戯曲賞最終候補作にも選ばれた『ハンサムな大悟』(2015)、江本祐介の音楽を大胆に織り込んだ”青春”を巡るロードムービー劇『BGM』(2017)などなど、”小劇場”という響きから連想されるような小難しさを感じさせない、とびきりポップでエモーショナルな唯一無二の演劇作品を上演し続けています。

BGM
2017年公演の『BGM』より。ドライブ中の車内に流れる”親密な時間”が瑞々しく可視化されたロードムービー劇。尾亘と中村蓉によるキュートな振付のダンスパフォーマンスも好評を博した。

ロロの活動は演劇という枠に留まらない。『いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三高等学校』シリーズでの高校演劇の啓蒙、映画『ダンスナンバー 時をかける少女』(2013)、テレビドラマ『デリバリーお姉さん』(2017)の制作や出演、堀辰雄や山本直樹らの小説・漫画のリーディング公演、盟友Enjoy Music Clubとのコラボレートで楽曲「100%未来」リリース、江本祐介「ライトブルー」MVの演出・・・というように、あらゆるジャンルのカルチャーを縦横無尽に駆け巡っている。そういった広範囲に渡るポップカルチャーへの情熱が一つに集約されるのが、演劇公演なのです。小説、漫画、ゲーム、アニメ、映画、音楽、ファッション、お笑い・・・主宰者・作・演出の三浦直之がこれまで影響を受けてきたあらゆるポップカルチャーをDJ感覚でマッシュアップして、物語が編み上げられています。これは新しい世代のクリエイターによく見られる傾向。そんな中で、ロロの演劇が特別なのは、そんなポップカルチャーへの愛と感謝が、「誰が誰かのことを強く想う」物語に転化されていく点にあります。誰かの放った「アイラブユー」、その瞬間に宿るエモーションをどこまでもピュアに信じ切ったその作劇は、観る者の心を強く捉えて離しません。

ハンサムな大悟

いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三高等学校

BGM ポスター
公演チラシも感度が高い。ボブa.k.aえんちゃん、西村ツチカ、南田真吾…といったポップカルチャー界の気鋭が起用され、ロロ演劇の世界観を大胆にビジュアル化している。

この度、そんなロロの最高傑作とも名高い『父母姉僕弟君』(2012)が、満を持して再演決定。112日から12日まで東京・シアターサンモールにて、ロロ×キティエンターテインメントという形で上演されます。今回の再演では、音楽を曽我部恵一(サニーデイ・サービス)、衣装を伊賀大介という考え得る完璧な布陣を迎えての制作。ぜひとも劇場に足を運び、ロロが繰り広げる”愛と笑いの夜”を体感してみることをオススメいたします。

父母姉僕弟君 演劇
『父母姉僕弟君』(2012)より。亡くなった妻の記憶を辿る夫の旅は、道行く中で出会う異形の者たちと強引に結びつきながら、”どこでもない場所”に辿り着く。ロロの「旅シリーズ」の元祖にして、最高傑作。

Text: Hiko

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