休刊後も熱く語られる機会の多い『オリーブ』。何に惹きつけられたのでしょう?みんなが好きだった『オリーブ』って? 時代とともに変化した雑誌のスピリットを懐かしいページとともに振り返ってみましょう。
🎨CULTURE
作家/山内マリコが考える『オリーブ』精神 「枯渇期が長かったからこそ憧れた、オリーブ先輩。」
枯渇期が長かったからこそ
憧れた、オリーブ先輩。
山内マリコ
作家
実は私、リアルタイム読者ではなく、遅れてきたオリーブ少女なんです。当時は『オリーブ』より他の雑誌に夢中で、大学で出会った親友に「あなたみたいな人が読んでいないなんて!」と言われました(笑)。その後も手にするチャンスはなく、バックナンバーを読むようになったのは上京してから。25歳を過ぎていたので、『オリーブ』の魔法にはかからなかったけれど、文化的に潤っていて女の子が夢を見られた80年代後半は、トキメキ度が高く、リアルタイムに読んでいたらヤバかったろうな。本の紹介の仕方も、今と情報量はそんなに変わらないのにそそられる構成で、風通しのいい感じが好きです。枯渇期が長かっただけに、『オリーブ』はいつまでたっても手が届かない先輩的存在。ちなみに、デビュー作『ここは退屈迎えに来て』に収録した「やがて哀しき女の子」の主人公は、オリーブモデルをイメージして書いています。
90年3月3日号「1990年の、村上春樹の世界」。「観月ありささんが魅力的!」
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山内マリコ
1980年富山県生まれ。小説家。『ここは退屈迎えに来て』(幻冬舎)でデビュー。11月17日に最新刊『メガネと放蕩娘』(文藝春秋)が発売。
Photo: Jun Kato Text&Edit: Tomoko Ogawa