洗練されたデザインの展覧会を多く開催する、六本木の「21_21 DESIGN SIGHT」。安藤忠雄設計の建築空間は無機質で、雰囲気もスタイリッシュ。そこで民藝の展覧会をやる!?しかも展示品の核をなすのは、日本民藝館の所蔵品。同館の旧館は、民藝の名付け親である柳宗悦が設計し、1936年に竣工した木造建築。そこから飛び出して、超現代的な「21_21 DESIGN SIGHT」にやってきた民藝は、はたしてどう見えるのだろう?
東北地方のこちらは、形も織の模様も今にも通じるカッコよさ。菱刺たっつけ 南部地方(東北) 大正時代頃 20世紀前半 〈日本民藝館蔵〉
今回の展示品をセレクトしたのは、デザイナーの深澤直人。実は日本民藝館の館長でもある(2012年-)。本展は時系列で並べたり学術的なカテゴライズはせず、彼の直観をもとに選び抜き、並べているという。それは、芸術家でも職人でもない人の手から生み出された「民藝」に素直な展示の仕方なのだろう。
当初のドキドキをよそに、民藝の数々はこの現代的な空間に驚くほどにマッチしていた。空間とモノだけじゃない。そもそもケースの中だって、バラバラなものがごく自然にグルーピングされている。深澤直人のセレクトセンスもあるのだろうが、観ていくうち、民藝と呼ばれるものに潜むタイムレスなデザインが浮かび上がってくる。